キーワードは「タイパ」とリスク回避 あの化粧品だけが“バズり続ける”メカニズムとは

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集者)
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トレンドとは関係なく“バズる”時代に

 アイスタイルが行った独自調査で「バズっている化粧品を買う理由は?」という設問に対し、「流行・トレンドに乗りたいという気持ちがある」と答えたのは全体の約31%にとどまり、「情報収集の手間や時間が省けるから」「いいものが多く、失敗が少ないから」「だれかのお墨つきという安心感があるから」と51%のユーザーが消極的な理由で商品を選択しているという結果が得られている。

 これについて@cosmeリサーチプランナーの原田彩子氏は「昨今の消費者は、タイムパフォーマンスとリスク回避を重視する傾向がある。消費者が『バズっているものを使いたい』のは『流行に乗りたい』のではなく『より短い時間でよりよいものを選択し、なおかつ失敗をしたくない』といった気持ちが強くなってきたのではないか」と、必ずしもトレンドと注目度が比例するわけではないと説明した。

古い商品が掘り起こされ“バズる”ことも

 今回の受賞では、古い商品が掘り起こされて注目されるという傾向も見られている。たとえば、発売から10年以上が経過する「ORBIS・エッセンスインヘアミルク」がベストヘアケア賞を受賞したのは、同商品の愛用者がSNSで情報発信し、発掘されたことがきっかけだ。

 これについて西原氏は、「消費者の中に、『古いものであっても、自分が知らなかったものや新しいと思えるものを発掘したい。その選択自体が自分らしさにつながる』という心理が働いているのではないか」と話す。

 その背景には、音楽のサブスクリプションサービスが浸透し、昔の音楽からよいものを掘り起こすリバイバルブームが起きていることが消費者心理に変化をもたらしたのではないかと西原氏は分析。古い商品であっても、消費者に掘り起こされることで流行につながる可能性があることを示唆した。

 今回@コスメベストコスメ賞を受賞した全230商品のうち、61商品が、発売から5年以上経過した商品だ。発売から長時間経過していても、昨年より、口コミを1.4倍以上集めている。「流行」はトレンドを踏まえた一過性のものではなく、新旧に関わらず、掘り起こされ“いいもの”が売れる時代なのではないかと西原氏は語った。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修了。関西のグルメ雑誌の編集部に所属後、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。日本酒、特に関西の地酒好き。趣味は、未知のものを食べること。「口に入れてから考える」ことをモットーに、日々さまざまな食べものを味わっている。

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