今注目の「ノンフード・ディスカウンター」とは

文:フリーランスライター:松岡由希子
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ノンフード・ディスカウンター
(NON-FOOD DISCOUNTER)

 ノンフード・ディスカウンターとは、日用消耗品、インテリア雑貨、調理器具、DIY商材、園芸用品、ペット用品、文房具、玩具など、非食品カテゴリーを中心に品揃えするディスカウントストア(DS)をいう。

 欧州では、物価高に伴って消費者の節約志向が高まるなか、ノンフード・ディスカウンターが圧倒的な価格訴求力を発揮して勢力を伸ばしつつある。

 本国オランダをはじめ、フランス、ドイツなど、欧州11カ国で約2300店舗を展開するアクション(Action)は、欧州で急成長しているノンフード・ディスカウンターだ。

アクション店内
アクション店内。非食品を、14カテゴリーにわたって約6000品目取り扱う

 2022年度には280店舗を出店し、売上高が対前年度比29.6%増の88億5900万ユーロ(1兆3997億円:1ユーロ=158円で換算)と大きく伸長した。23年度上半期も対前年同期比33.5%増の52億ユーロ(8216億円)と前年を上回るペースで好調に推移している。

 アクションでは非食品を、14カテゴリーにわたって約6000品目取り扱う。そのうち約1750品目が1ユーロ(158円)未満の商品で、平均販売価格は2.2ユーロ(347円)だ。EDLP(エブリデー・ロープライス)施策をベースとしながら、週替わりで特売も実施している。

 アクションと同様に物価高下で存在感を高めているのが、ドイツで04年に創業したノンフード・ディスカウンターのテディ(TEDi)だ。

テディ店舗外観
テディの店舗外観

 5000店舗体制を中期的な目標に掲げ、22年には300店舗以上を出店。本国ドイツを中心に、スペイン、イタリア、オーストリア、ポーランドなど、欧州15カ国で3000店舗を展開している(23年9月時点)。新規出店に加えてM&A(合併・買収)も積極的に実行している。フランスでは、23年4月に第1号店を開業したのに続き、同年8月、フランスで破産を申し立てたDSマックスプラス(Max Plus)の42店舗を譲受することを発表した。

 テディは低価格と幅広い品揃えが強みだ。取扱品目数は1万5000品目以上にのぼり、約3000品目を常時1ユーロで販売する。650㎡超の売場では、日用品やDIY商材、文房具、ペット用品などのほか、小型家電、手芸用品、クラフト用品、パーティグッズなど、多様なカテゴリーを網羅し、ワンストップショッピングのニーズにも応えている。

テディ店内
テディ店内。低価格と幅広い品揃えが強みだ

オフプライスストア
(OFF PRICE STORE)

 オフプライスストアとは、ブランドやメーカーの余剰在庫を大量に安く仕入れ、正規価格よりも大幅に値下げして販売する小売業態である。

 その市場規模は世界全体で21年時点の2兆7017億ドル(約400兆円:1ドル=148円で換算)から年平均8.2%増のペースで成長し、28年には4兆7821億ドル(約708兆円)に達すると予測されている。

 物価高によって購買力が低下傾向にあるなか、オフプライスストアは「品質のよい商品を手ごろな価格で購入したい」という消費者ニーズに応える販売チャネルの1つとなっている。

 英国、オランダ、ベルギーでオンラインマーケットプレイス型のオフプライスストアを運営するシークレット・セールス(SecretSales)は22年度の売上高が対前年度比70%増と大きく伸長し、「欧州で最も急速に成長したアパレルEC」として注目を集めた。

 シークレット・セールスでは、「Gucci」(グッチ)や「PUMA」(プーマ)、「DIESEL」(ディーゼル)、「Nike」(ナイキ)など、2400以上の有名アパレルブランドの余剰在庫を取り扱い、正規価格から最大70%引きで販売している。

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