スーパーマーケットの次世代顧客は「ヤングファミリー」か、「MZ世代」か

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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子育ても単身も。MZ世代を狙うイオン

イオングループはMZ世代をターゲットにした施策を強化している
イオングループはMZ世代をターゲットにした施策を強化している

 一方、イオングループは、24年2月期に入ってからのいくつかの会見で、MZ世代へのフォーカスを鮮明にしています。これはジェネレーション軸のターゲティングです。

 その必然性は、人口動態や世帯構造の変化から導き出されています。団塊世代が子育て中だった1985年、全世帯に占めるファミリー世帯(夫婦と子供)の割合は58.3%、単身世帯は15%でした。2020年にはファミリー世帯は41%に低下、単身世帯は34%に倍増しています。2035年になるとファミリー39%、単身35%と拮抗するとの予測をもとに、単身世帯をファミリー世帯と同等のターゲットと位置付けます。

 そして20~30年代の食市場を支えるMZ世代ですが、現状の初婚年齢の平均値を踏まえれば、今のところ半数以上は独身ということになるでしょう。子育て中ではない世帯に向けても商品・サービスの提案を強める、それがイオンの戦略のようです。

 象徴する商品の1つが、明らかにMZ世代を狙ったテレビCMを放映している「トップバリュ もぐもぐ味わうスープ」です。個食のレトルトスープで本体価格298~498円と設定、子供とシェアする商品ではありません。

 イオントップバリュの土谷美津子社長は商品戦略に関する今春の会見で、「かつてのようにマスのターゲットは存在しません。求められる商品はお客さまによって異なります。ある人には必要でも、別の人には全く不要という世の中です。その価値観別に、スモールマスといわれるニーズを深掘りしていきます」と語っていました。

 今夏スタートするオンラインマーケット「グリーンビーンズ」においても、そのサービス設計にはデジタルネイティブである20~30代にとっての利便性を高める意図があります。また、4月に発売した低利用魚を原材料とする「トップバリュ モッタイナイお魚シリーズ」は、水産資源の活用の幅を広げるという意図と同時に、洋風フレーバー・失敗しない調理・冷凍によるストック性と、MZ世代に好まれる要素を盛り込んだと言います。

 イオンのようにMZ世代をターゲットにする場合と、ヤオコーのようにヤングファミリーを対象とする場合では、同じ次世代顧客でもターゲティングの軸が違います。一方は「ジェネレーション」であり、もう一方は子育てという「ライフスタイル」にフォーカスしています。

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