業態超え大型再編続々の小売業界を読み解く!流通相関図2024!

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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存在感高まるロピアとトライアル

 このほかにも、各業態で合従連衡の動きが加速している。なかでも再編が頻発しているのが食品スーパー(SM)だ。

 まずイオングループでは、24年3月にフジ(愛媛県)がマックスバリュ西日本とフジ・リテイリングの事業会社2社の経営統合を完了し、18年からイオンが取り組んできた「スーパーマーケット改革」がついに完了した。さらにイオンは23年11月にいなげや(東京都)をTOBにより連結子会社化しており、同社について11月をめどに、マルエツ(東京都)、カスミ(茨城県)、マックスバリュ関東(東京都)を擁するユナイテッド・スーパーマーケット・HD(東京都)との経営統合を行う予定だ。

 また、24年4月にはイオン北海道(北海道)が西友(東京都)の札幌市内の9店舗を買収・承継することを発表している。

 一方、セブン&アイHD(東京都)では、イトーヨーカ堂(東京都)が再編の中心にある。23年3月には、首都圏でSMを展開するヨークを吸収合併。さらに24年2月には、北海道、東北、信越エリアの撤退店舗について、セブン&アイグループのヨークベニマル(福島県)とダイイチ(北海道)、さらにはロピア(神奈川県)の親会社OICグループ(同)に譲渡することを発表した。セブン&アイHDはイトーヨーカ堂の経営資源を首都圏に集中させて事業構造改革を推進することで、近年不振が続いていた同社の再成長を図る。

 他方、イトーヨーカ堂から7店舗を手にするOICグループは、M&A(合併・買収)による事業拡大も同時並行で進める。22年にはスーパーバリュー(埼玉県)を子会社化(23年2月に連結子会社化)したのに続き、23年2月には東京都を地盤とするSM・アキダイを買収。さらに24年3月には野嵩商会(沖縄県)とフランチャイズ(FC)契約を結び、初のFC店を開業し沖縄進出も果たした。

 このほか注目したいのはロピア同様に全国で積極出店を続けるトライアルホールディングス(福岡県)だ。23年10月には、青森県の地場SM佐藤長から一挙に18店舗を譲受して北東北の地盤を強化。さらに24年3月には東証グロース市場への上場を果たし、市場からの資金調達によってさらなる新規出店・既存店の大型改装に弾みをつけると思われる。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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