EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
RFM分析が通用しなくなった理由
とスクロールの成功要因
カタログ通販企業には、独特のKPIがある。それは、RFMという顧客管理手法だ。上記の通り、使用用途と会社名がうまくわかれているため、祖母から母へ、そして娘へという形でカタログ通販のビジネスは繋がってくる。したがって、「顧客開拓」という概念が存在しないのだ。むしろ、自動的に入ってくる顧客の誰にカタログをおくれば、最も費用(紙代)とパフォーマンス(購買)がよいのかという管理手法を軸にしているわけだ。
ちなみに、RFMというのは、Recency, Frequency, Monetaryの略で、「最も最近に買った人」、「もっとも購買頻度が高い人」「もっともお金を使った人」のレスポンスレート、つまり、カタログを送って購買してくれる確率が高いか、を算出するわけだ。
しかし、このRFMには決定的な欠陥がある。これは、顧客をどんどん減少させてゆくという点である。
今、顧客は有象無象のEC通販に囲まれ、能動的に顧客開拓をしていかないといけない。いまだにRFM分析をしていたら、どんどん顧客を絞り込み、最後は固定費を割って、企業は死んでゆくことになる。私は、ダメコンサルがRFMを提唱し、そのジェットコースターのような売上の減少を止める術もなく、効率は上がるが事業として存続しないほど売上が小さくなっていくことを幾度も経験した。
今でも、カタログ通販は「RFM」で顧客選別をしている、というべきか、せざるをえない。それほど「カタログ」にはコストがかかっており、これをばらまけば逆にコスト倒れに陥ってゆく。
したがって、カタログ通販に絶対必要なのはマーケティングであり、Acquisition(顧客の獲得)という概念だ。ちなみに、スクロール時代に、F1層から60歳アッパーのシニアをブレークイーブンを超えるだけの投資をおこない、大赤字を計上したことがある。これは、Amazonが創業時赤字にもかかわらず、M&Aを次々と繰り返しAcquisitionを行っていたのと同じ戦略だ。
スクロールの株価は我々の戦略通り大きく上がり、シニアマーケット向けの事業は今ではドル箱になっている。
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