7社の「勝ち」フォーマットを徹底検証!インフレでも強いスーパーマーケットの条件とは

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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地方チェーンにもヒントは満載

 首都圏以外にも、その「強さ」をあらためて注目すべき強力なチェーンは多く存在している。

 万代は、ロピアの出店拡大やオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)の進出決定によって乱戦必至の関西圏において、安定的な支持を集め、繁盛店を多く有している。強烈な価格訴求をするでもなく、尖った商品政策(MD)を多く導入するわけでもない同社が支持されている理由とは何か。そこには、商品を「売り込む力」と、意外な集客部門の存在がある。

 北海道から九州まで、スーパーセンター(SuC)を主力業態に店舗展開するトライアルカンパニーも、成長を遂げている企業の1つだ。同社は長年取り組んできた生鮮強化戦略がついに結実、SuCならではの食品・非食品の圧倒的な品揃えに、専門性の高い生鮮部門が掛け合わされたことで、以前に増して爆発的な集客力を獲得している。

 そして、“ローカルSMの星”ともいえるツルヤ。徹底した売場標準化と、それを原資に地元メーカーなどと共同開発した、独自色の強い付加価値型PBが熱烈な支持を集めている。直近では群馬県での店舗展開も進めるなどその勢いは関東圏にも迫っている。

 値上げが進み、お客の節約志向がいかに強まろうとも、生活必需品の1つである食品の「需要そのものが落ちる」ことは起こり得ない。つまるところ足元のインフレは、「選ばれる店」と「選ばれない店」をくっきり二分させることにつながるのだ。そして後者は、合従連衡の動きをはじめとする業界のめまぐるしい変化の中で、淘汰される可能性が高い。

 インフレ化でもお客に支持される強いSMとは何か──。それを今あらためて考え、実行に移すためにも、成長企業の「強さ」を研究してみよう。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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