7社の「勝ち」フォーマットを徹底検証!インフレでも強いスーパーマーケットの条件とは

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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求められる価格と付加価値のバランス

 こうした厳しい環境を、SMはいかに勝ち抜いていくべきか。

 まずはやはり、価格対応だろう。サプライチェーンの上流に遡った調達力の強化や、売場・店舗オペレーションの効率化による販管費の削減などといった努力で、適正価格を維持することは、生活インフラとして機能するSMにとって欠かせない。

 ただ、価格対応だけでは勝ち残れないというのも事実だ。インフレ下でも集客を図るために各SMが価格対応を“大前提”とするなかで、それを戦略の軸としても、同質化競争に陥るだけである。また、食のマーケットを深耕するドラッグストア(DgS)やディスカウントストアの価格競争力の高さに、SMが太刀打ちすることは現実的ではない。

 となると、価格以外の付加価値をお客に提供することで、「選ばれる店」をめざすというのが正攻法になる。ただし、付加した価値をそのまま価格に転嫁することは既存顧客の流出を招くおそれも高い。自社・自店の商圏や顧客特性を正確にとらえたうえで、価格と付加価値のバランスをいかにうまくとるか。そのうえで、競合他社には簡単にモノマネされない独自の「強み」をいかに確立するか。言うは易し行うは難しのこの課題を解くことが、インフレという逆風下でも「強さ」を保ち、磨き上げ、成長を続けていくことにつながるのだ。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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