7社の「勝ち」フォーマットを徹底検証!インフレでも強いスーパーマーケットの条件とは

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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首都圏の有力SMが成長を続ける理由

 では、「インフレ下でも強いSM」の条件とは何なのだろうか。そのヒントを、すでに強固な店舗フォーマットを有する注目企業に求めようというのが、本特集の主旨である。

食品スーパーのイメージ
インフレという新たな逆風でも「強いSM」をつくり上げることが将来の成長継続につながる(写真は本文とは関係ありません)

 今回、ケーススタディとして取り上げたのは、ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)、ベルク(埼玉県/原島一誠社長)、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)、万代(大阪府/阿部秀行社長)、トライアルカンパニー(福岡県/石橋亮太社長)、マミーマート(埼玉県/岩崎裕文社長)、ツルヤ(長野県/掛川建三社長)の計7社。各社の注目店や繁盛店、新フォーマット店舗を徹底調査し、それぞれの「強み」がどこにあるかを考察した。

 このうちロピア、ベルク、ヤオコーの3社は言わずもがな、首都圏を地盤とする有力SMとして知られ、本誌でも頻繁に取り上げる企業群だ。

 ロピアは今や中部、関西、そして台湾まで店舗網を広げ、今年6月には九州(福岡県福岡市)への進出も控えている。そうした果敢な拡大政策の背景には既存店に対するお客の高い支持があるわけだが、同社の“店舗力”にあらためてフォーカスすると、変幻自在の売場編集力と、安さを印象づけるための戦略的な仕掛けの数々が明らかになった。

 ベルクは徹底した売場標準化と効率化の取り組みで知られるが、売場を細かく見ると、「何で売り」「何で稼ぐか」をカテゴリーごとに明確化する姿勢、標準化された売場の中でアクセント的に差し込まれた“意外性”が集客につながっていることがわかった。

 多くのSMがベンチマークするヤオコーは、季節やトレンドを先取りした商品開発、プライベートブランド(PB)を含む各カテゴリーでの圧倒的な品揃えが集客力の源泉となっている。それとともに、回遊性を高めるための緻密なレイアウト設計が、購買促進につながっている。

 これらの有力SM3社との厳しい競争にさらされながら、新たなフォーマットの開発によって成長を推進しているのが、マミーマートだ。同社はディスカウントフォーマット「生活市場TOP」「マミープラス」への業態転換を足元で進めており、転換によって売上高が2倍に拡大した店もある。生鮮強化と品揃えの拡充、そしてそれらを手頃な価格で提供することで、激戦地でもお客の支持を獲得している。

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