コスモス、クスリのアオキ…勝ちパターンで高速出店するフード&ドラッグの強さと死角とは
避けられない店舗飽和と同質化競争
ただし、競争がこのまま均衡を保って続いていくかというと、そうとは言い切れない懸念材料もある。
課題として最も大きいのは、各社が高速出店していった先にある店舗飽和と同質化の問題だ。フード&ドラッグ業態は小商圏型のビジネスモデルが基本であり、各社が所かまわず出店を重ねていけば、当然淘汰される店やチェーンも出てくるだろう。コンビニエンスストア(CVS)が大手3社にほぼ集約され、直近は出店数も鈍化しはじめているが、フード&ドラッグがそれと同じ道を歩む可能性は否定できない。
そして同質化の問題である。DgSが食品を扱うことは当然となり、さらには生鮮すらも今やそれほど強力な差別化ポイントとして機能しなくなりはじめている。確立されたオペレーションを崩すことになるため、これまで「生鮮はやらない」というスタンスを貫いていたコスモス薬品でさえ、九州の一部の店舗では生鮮を扱い、横山社長も「チャンスがあれば(生鮮に)本格参入することも否定はしない」とメディア向けに語っている。
では、今後フード&ドラッグ間の競争はどう展開されていくのか。あるフード&ドラッグ企業の経営幹部はこんな視点を明かす。「基本的には他を圧倒する価格を打ち出すか、社会課題解決型の店づくりのどちらかの軸に各社は収斂し、そのなかで寡占化が進んでいくだろう」──。
ここでいう社会課題解決型とは、地域のニーズに対応した、生鮮をはじめとする食品の品揃え+DgS商材+調剤薬局という構成で、究極のワンストップ性を実現するというもの。前出の4社でいえば、ウエルシアやクスリのアオキはこちらの軸に寄りつつあり、コスモス薬品やゲンキーは今のところ前者にカテゴライズできる。
いずれにしても、価格、品質、利便性など、何らかの分野で競合を圧倒する専門性を有するための努力をし続けなければ、ポジションはあいまいになり、市場からの“退場”に至ってしまう可能性が高いといえる。