コスモス、クスリのアオキ…勝ちパターンで高速出店するフード&ドラッグの強さと死角とは
成長に向けた「軸」が明確であるという強み
今日のフード&ドラッグの強みとしてもう1つ挙げられるのは、これまで積み上げてきたノウハウをもとに、明確な成長戦略とそれに向けた具体的な方策を定めている点である。言い換えると、各社でほぼ“勝ちパターン”を見出し、さらなる成長に向けてまっすぐに突き進んでいるのだ。
たとえばコスモス薬品は、商圏人口1万人で成立する売場面積2000㎡の「小商圏型メガドラッグストア」を標榜。売場レイアウト、店舗オペレーションなどあらゆる側面が徹底的に標準化されているため高速出店が可能であり、現在は関東まで商勢圏を広げ、高密度なドミナントを形成している。
クスリのアオキはこれまで出店してきた300坪型(小型:従来の標準サイズ)、450坪型(大型:生鮮導入タイプ)の中間サイズにあたる400坪型を新たな標準フォーマットに設定。生鮮(青果・精肉)は大型店や外部プロセスセンター(PC)から供給を受けることで店内加工を必要としない、「運営効率の高い生鮮導入店」を武器に出店を拡大する。加えて、昨今進めている地場SMのM&A(合併・買収)により生鮮販売のノウハウをさらに蓄積しつつ、調剤併設率の向上(26年度に併設率70%達成が目標)を急ぐことで、フード&ドラッグとしての利便性、専門性を追求している。
ゲンキーは、徹底した“自前主義”を貫くことで同業他社との差別化を図る。同社は自社運営の生鮮PCを有し、そこで加工・製造した生鮮・総菜を直営の売場で安価に展開する。また、PCや物流センターと店舗間の物流や、出店用地の開発などもすべて自社内で完結させているのが特徴だ。PCについては今春、富山県内にも新たな設備を稼働、物流センターも富山県(PC併設)、滋賀県、愛知県で新設する計画。さらに不動産開発専門の子会社を立ち上げ、用地開発の体制・スピードを向上させるなど、自前主義のさらなる磨き込みで勝負を仕掛ける。
ウエルシアはここ数年、生鮮売場の直営や、同じイオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループの地域SMとの共同出店やコンセ導入などさまざまなスタイルでの生鮮販売にチャレンジしてきた。そして22年9月には、イオン九州(福岡県/柴田祐司社長)とフード&ドラッグ専業の合弁会社であるイオンウエルシア九州(福岡県/安倍俊也社長)を立ち上げ、DgSとSMのノウハウを結集した新会社によるフード&ドラッグの展開、という大胆な策に打って出ている。
このように各社は、それぞれが成長戦略とフォーマットをいわば“決め打ち”し、自信をもって未来の成長を描いているのである。ある意味、戦略面ではすみ分けが図られているともいえる。
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