PPIH、GMS改革好調で過去最高業績! 次はドンキ立て直しで打ち出した3つの方針とは

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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菓子、酒、精肉…
カテゴリーを特化へ

「東京」駅の八重洲地下街にオープンした「お酒ドンキ」
「東京」駅の八重洲地下街にオープンした「お酒ドンキ」

 このようにGMS事業・UDリテール、海外事業と新たな収益の柱が育成されつつあるPPIHだが、急がれるのが主力のドン・キホーテの業績回復だ。
 PPIHが打ち出した方針は大きく3つだ。1つめは「カテゴリーの深堀りと強化」だ。ドン・キホーテが強みを発揮できるカテゴリーに特化し、専門性を高めた提案を進める。

 すでに21年5月には菓子、酒類に特化した新業態「お菓子ドンキ」「お酒ドンキ」をJR各線「東京」駅の八重洲地下街にオープン。また、精肉に特化した「肉ドンキ」の展開に向けた実験も進めているという。

PBの開発・販促を強化
低価格で真っ向勝負!

 2つめは、「プライベートブランド(PB)の導入および開発強化」だ。

 すでに21年2月にはPBシリーズ「情熱価格」のリニューアルを実施。22年6月期は食品、日用消耗品、家電製品、衣料品カテゴリーを中心に商品開発を進める。 

 また、既存の商品のブラッシュアップのほか、販促や商品のブランディングにも注力し、来店動機の創出と粗利益率の向上、他社との差別化につなげる。

 本来は21年6月期に達成を掲げていたPB売上高3000億円の目標を、23年6月期までに達成したい考えだ。

21年2月にはPBシリーズ「情熱価格」のリニューアルを実施している
21年2月にはPBシリーズ「情熱価格」のリニューアルを実施している

 3つ目は競合店との価格対抗の強化だ。PPIHは20年6月期から成長戦略「ミリオンスター制度」をスタート。商圏人口100万人を目安に全国に102の支社を創設し、支社と本部とのコミュニケーションを強化。本部の支援によって生産性を向上しつつ、浮いた時間をスポット商品の商談や競合調査、売場づくりなどに充てて個店対応力を高める施策だ。22年6月期は同制度により300万時間の労働時間の創出を図り、個店ごとに競合店対抗をいっそう強める。
                   
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 長引くコロナ禍による先行きの見えない経済環境から、DSの存在感はいっそう強まると想定される。そうしたなかドン・キホーテがどのような変革を遂げるのか注目だ。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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