脱トレードで問題解決業をめざせ!アパレル商社の生き残り戦略が「デジタル」ではない理由

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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 しかし、在庫を過剰に持つことが、それほど「おいしい商売」であるならば、競合も当然目をつけているだろう。一方で、少子高齢化、グローバル競争、そして、コロナ禍という特殊事情が複合的にミックスされ競争環境を激変させた。なにより、多くの消費者はもはや衣料品などにお金を使わなくなっており、スマホ片手に、世界中で最もお買い得な商品を同列比較する時代となった。

  このように、我々の知らないところで相場は反対方向に動く下地が徐々にできあがり、いつの日か一気に「勝ちパターン」はひっくり返される。例えば、売れに売れている商品であっても、競合も同様の分析をしており、もっと競争力のある商品を市場に出す。実際、私が企業再建でアップサイド(売上)向上の施策を検討するときは、もはや消費者の購買は減ることはあっても増えることはないのだから、想定競合先を特定し(買い回り分析を行う)、その競合の商品の、より品質のよい商品をもっと安価に市場に出し、商品を売るのでなく個客を奪う戦略を立てる。このやりかたが、売上を上げるもっとも確実な方法なのだ。

  企業が破綻する理由は、相場取引パターンが多い。コツコツと地道に利益を積み上げることなど馬鹿らしくなるほど、相場品は「濡れ手に粟」だからだ。

在庫最小化のための4つの視点と解決策

 ここで、在庫を最小化のための4つの視点とその解決策を解説したい。

  1. そもそも調達在庫をどのように考えるか
  2. 消費者の購買力や競争環境から適正価格をどう設定し、どう売るか
  3. 在庫レスを実現するための手法はなにか
  4. それでも余った在庫はどうするか

  これら4点について、合理的かつ論理的な戦略が必要だ。

  1. の解決策は、ビッグデータ(自社の個客)から調達量を算出するDigital MDである
  2. は、ユニクロ、ZARAなどの商品分析しそのコスパをどうすれば勝てるか、彼らに満足できていない層はどうすれば奪い取ることができるかを考えることだ。
  3. についていえば、受注生産などの技術を活用することになる。
  4. については、これもFULL KAITENなどが提供する余剰在庫の適正販売をデジタル技術で最適化することである(参考:https://full-kaiten.com/

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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