個店経営でお客のニーズに対応、全員参加の商売が個店を強くする=ヤオコー 川野 幸夫 会長

聞き手:下田健司
構成:小木田 泰弘
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ヤオコー個店経営の強さの秘密

「感動と笑顔の祭典」で成功事例を横展開

ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)は、2006年5月からパートナー社員が成功事例を発表する「感動と笑顔の祭典」を月1回開催している。店が相互に刺激し合う全店的なQC運動(Quality Control Movement)と位置づけられている。15年4月に開催された「第107回 感動と笑顔の祭典」からヤオコーの個店経営の強さの一端をみてみる。

約300人が投票

 ヤオコーの「川越研修センター」(埼玉県川越市)で月1回開催されている「感動と笑顔の祭典」は、2006年5月からスタートした。

 毎回9地区から各1チーム(1部門)を選出し、代表のパートナー社員が成功事例を発表する。内容は、取り組み課題に対して、現状分析、目標設定、仮説設定、効果の検証を行い、具体的に数値が改善した事例が報告される。発表内容は全役員をはじめ、本部の社員や店長、パートナー社員など約300人が投票し、優秀チームを選出、表彰する。

 発表するパートナー社員は、発表資料のスライドや図表の作成で店長や主任からサポートを得られるが、取り組み内容自体は自らが考えたものだ。

 得票数トップは「ベストメンバー賞」(1チーム)。次点は「メンバー賞」(3チーム)、「チーム賞」(5チーム)となっている。

 川野会長が「『全員参加の商売』の象徴的なイベント」と説明するように、発表内容は映像として記録し全店に配布。ノウハウを各店舗が学習できるようになっている。

 「感動と笑顔の祭典」は、店が相互に刺激し合う全店的なQC運動と位置づけられている。ほかにもヤオコーでは、成功事例の報告書が毎週100枚?150枚、各店舗から本部に届き、地区別、または全店で情報を共有している。

“ヤオコーの商い”をしっかりと理解

 15年4月に開催された「第107回 感動と笑顔の祭典」でベストメンバー賞に選出されたのは、深谷上野台店(埼玉県深谷市)のレジリーダーだ。発表のテーマは「チームで仕事(笑顔の接客)で集客アップ」。同リーダーは、ベテランが多いなかで「打ちミス」もあったことから、基本の徹底から見直すことにした。教育係でもあるリーダーがレベルアップを図ることから開始。そのうえで月に1回、レジミーティングを実施。アイコンタクトや笑顔、発声などのフレンドリーサービスのトレーニングを部門のパートナー社員全員で行った。さらにパートナー社員同士で問題点やその解決策を話し合い、改善につなげたという。

 「メンバー賞」は、所沢北原店(埼玉県所沢市)のベーカリー担当(「『アウトパックサンド』&『こだわり商品の育成』による黒字化への奮闘記」)、ワカバウォーク店(埼玉県鶴ヶ島市)の寿司担当(「時間帯別MDの取組みによる数値改善」)、小川SC(埼玉県比企郡小川町)の鮮魚担当(「鮮魚部門の顔! 『お造り』と『サラダ』 生食売場の強化」)が選出された。

 ヤオコーの川野会長は、総評で「本日発表されたみなさんは、“ヤオコーの商い”をしっかりと理解されている。基本中の基本であるそうした取り組みを、怠ることなく日々実践していただけていることを大変うれしく、そして心強く感じている」と発表者全員を高く評価。「日本一元気なスーパーマーケットとして地域のお客さまに喜んでいただける取り組みを行っていこう」と続けた。

 「感動と笑顔の祭典」は、ヤオコーの個店経営を充実させる「全員参加の商売」に欠かせないイベントとなっている。

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構成

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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