最強の小売業、ウォルマートが競合対策のディスカウントをもはや必要としなくなった理由

文=後藤文俊
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ディスカウント特集

競合対策のディスカウントはもはや必要なし? オムニチャネル化推進で絶大な支持を獲得

世界最大の小売企業であるウォルマート(Walmart)。同社は2019年5月、ストアアプリに搭載していたディスカウント機能「セービング・キャッチャー(Savings Catcher)」を廃止したにもかかわらず、成長の勢いは衰えていない。同社は徹底したローコスト運営によるEDLP(エブリデー・ロー・プライス)の実現に加え、アプリ機能の充実やネットスーパーで注文した商品の受け取り方法の拡大などによるオムニチャネル化の推進で、顧客から絶大な支持を獲得している。

四半期の純利益は過去最高益に

ウォルマート外観
ウォルマートの20年度第2四半期の業績では、ECの売上が2倍近く増加し好調だったほか、四半期の純利益では過去最高益を記録した

 ウォルマートが20年8月に発表した第2四半期(5~7月期)決算では、EC売上が過去最大の伸びを記録した。新型コロナウイルス(コロナ)の感染拡大によりネットスーパーなど宅配需要が伸長。また、政府によるコロナ支援の現金給付が家具や衣料品など利益率の高い消費を支えたほか、値引きも減少した。

 会員費などを含む総売上高は対前年同期比5.6%増となる1377億ドル(約14兆4600億円)。利益率の高い商品が売れ、値引きを抑えられたことで、店舗消毒などの安全対策や臨時ボーナスなど新型コロナ関連費用として計上した15億ドル(約1600億円)を大きく上回り、純利益は同79.4%増、四半期として過去最高益の65億ドル(約6800億円)だった。

 米国内のスーパーセンターやディスカウントストアなど、売上高全体の約6割を占めるウォルマートUS部門の売上高は、同9.5%増の933億ドル(約9兆8000億円)で、同部門の既存店売上高(ガソリン販売を除く)は同9.5%増だった。前四半期と同じくコロナ禍の影響で食品や日用品が支え再び高い伸びを示した。これにより、14年8~10月期から約6年間、24四半期連続で前年同期を上回っている。

 客数は同14%減だったが、客単価は同27%増だった。前四半期と同様、消費者は外出を控えながらも、買物の際は食品や生活必需品をまとめ買いしていたことが奏功した。ただし、4~5月に支給された支援金の効果は薄れており、7月の既存店売上高は4%増と通常の水準に戻っているという。

アプリに搭載した値引き機能を廃止に

 ウォルマートは前年の第2四半期に当たる19年5月、ストアアプリに搭載していた「セービング・キャッチャー」を廃止

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