ファーストリテイリング2ケタ減収減益 20年8月期決算説明会で柳井正社長が語ったすべて

本誌編集部
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ファーストリテイリングが10月15日に発表した2020年8月期決算は 売上収益が対前期比12.3%減となる2兆88億円、営業利益同42%減の1493億円の大幅減収減益となった。新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大で売上に急ブレーキがかかった一方で、第4四半期では回復も見られ、レジリエンス(復元性)の強さをみせた。こうした状況下、柳井正会長兼CEOは何を語ったか?

(2020年 ロイター/Issei Kato)

国内ユニクロ事業は減収も増益を確保

 柳井会長兼社長の説明に先立ち、決算の事業別内訳をダイジェストで説明する。

 まず国内ユニクロ事業は、売上収益8068億円(同7.6%減)、営業利益(同2.2%増)1046億円となり減収増益だった。既存店売上高は通期で6.8%減、とくにコロナの影響で多くの店を閉めたことから下期同9.6%減だったが、EC売上が通期で同29.3%増となったこと、粗利益率が同2.4ポイント改善したことから、上記の結果となった。

 海外ユニクロ事業は、コロナの影響で売上収益8439億円(同17.7%減)、営業利益は502億円(同63.8%減)となった。また、ジーユー事業は、売上収益2460億円(3.1%増)、営業利益218億円(同22.5%減)と増収ながら営業減益となった。通期の既存店売上高は同5.2%減となるも、EC売上が同約6割増収となった一方で、コロナの影響で春夏商品の値引き販売を強化したことで粗利益率が同0.7pt減(48.3%)となったことから上記の結果となった。グローバルブランド事業は売上収益が1096億円(同26.9%減)、営業利益は127億円の赤字(前期は36億円の黒字)となった。

 なお、21年8月期は、売上収益2兆2000億円(同9.5%増)、事業利益は2650億円(同55.9%増)、営業利益は2,450億円(同64%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,650億円(同82.6%増)と、増収大幅な増益を予想している。

 その前提として、上期は東南アジア、欧米でコロナの影響が続くと想定して減収を見込む一方、下期は、収束を想定、すべての事業で大幅増収、営業利益も大幅に改善することを見込んでいる。

柳井正会長兼社長が語る今後の展望

 以下、柳井正会長兼社長が語った「ファーストリテイリング今後の展望」をまとめた。 

 世界はいまコロナに端を発する、経済活動の停滞など、これまでの常識が通用しない状態にある。お客が求めるものが変われば、商品も変わり、売場も変わる。この状況に立ち向かうには、私たちが変わらなければといけない。

 グローバル化の流れは何があっても変わらない。世界でスマホの台数は50億台を超え、世界的に1人1台がスマホを持つのが当たり前の時代となった。世界中の人々がスマホという高性能コンピューターを手に、あらゆる情報を得て、自在に発信できるようになった。だから、グローバル化が進むのは必然であり、どんな大きな力を使っても改めることはできない。

 そのような信念のもと、デジタル、ロボティクス、全自動化という考えをてこに、事業プロセスを大胆に変えていく。

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