「ロピア田無店」の売場に見た!ロピアの商品開発スピードの凄み

矢野清嗣
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ロピアの強さを支える「商品開発スピード」

 加工食品・菓子・酒類売場は、「売れ筋商品」、「こだわり商品」、「オリジナル商品」をそれぞれカテゴリー別にメリハリを付けながら配置している。加工食品は品揃えを絞り込んでいるようだ。たとえば「即席麺」の扱いは3尺5段1本の売場に、「日清食品・日清ラ王」、「東洋水産・マルちゃん正麺」など14SKUのみ。「カップ麺」も同様に3尺6段3本に42SKUの扱いしかない。

 調味料では、関連会社である丸越醸造が製造した商品を強く訴求している。丸越醸造の大正5年(1916年)創業の老舗メーカーで、「酢」「ポン酢」「味噌」「醤油」「ソース」「ケチャップ」「たれ」「つゆ」「ドレッシング」など商品カテゴリーは多岐にわたる。既存店舗でも、何らかの試食販売を行っており、商品拡販に力を入れているのが窺える。

 乾物では「武井商店」の屋号で、ロピアオリジナルの商品を販売する。乾物は利益率が高く、地域性を打ち出すこともでき、可能性のある商品である。田無店の粉物関連売場では、「そのままでも旨いたこやき粉500g」(199円)、「お好み焼粉500g」(199円)を販売している。コロナ禍によって販売が大きく伸びた粉物を、即座にオリジナル商品として発売できる商品開発力は、ほかのチェーンが一朝一夕で真似できるものではない。国内外にメーカー・商社機能を持つロピアの強みと言える。

 酒売場ではワインに力を入れている。ゴンドラ上段は「1300円以上」、中段は「900~1300円」、下段は「900円以下」と価格帯別に商品を陳列。3尺4段2本のスペースでは、「WINE×MEAT」と記したパネルを掲げ、関連会社の輸入商社ユーラスが直輸入したワイン19SKU揃える。

ロピアの「コロナ対応」とは

 筆者は今期(2020年2月期)にオープンしたロピアの新店4店舗を訪ねてきた。その中で気がついたのが、商品構成が変化しつつあるという点だ。青果、精肉、鮮魚売場の基本スタイルは変わらないものの、総菜に変化が見られている。

 約10年前にロピアの店舗を初めて拝見した時は、「298円弁当」や大ぶりの肉団子、揚げ物類に圧倒されたが、今日ではそれらの商品よりも、箱入りのホールピザや巨大なナン、デザート、ベーカリーの存在感が大きくなっているように見える。ロピアの総菜は店内加工を基本としているものの、最近は利恵産業が製造するアウトパック総菜も増えている。中原産業が運営する中華総菜コーナーを導入する店舗も多い。

 冷凍食品も5割~6割引の家庭用商品の扱いが減り、業務用商品の扱いが増えた。加工食品は品揃えを売れ筋に絞り込み、こだわり商品やオリジナル商品が増えた。

田無店では新オリジナルの商品として「ニラ饅頭」(1パック12個入り298円)を投入していた

 ロピアのこれらの変化は、何を意味しているのか。筆者はコロナショックが影響を与えているのではないかと考える。外食する機会が減り、仕事帰りに総菜を買うよりも食材を買って自宅で調理する機会が増えた。所得が減ったことにより、お客の購買行動が変化している可能性も考えられる。

 こうした背景を踏まえ、ロピアでは、総菜や冷凍食品の売場を変化させ、コロナ対応としているのかもしれない。また、これらの取り組みには、チェーンとして利益志向を強めてきたいという意識も垣間見える。総店舗数50店舗を突破し、関西進出も果たしたロピアが、さらなる成長に向けアクセルを踏み込んだ様子が窺える。


所在地 東京都西東京市西原町4-2-8
開店日 2020年9月18日
売場面積 約470坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 385台

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