大ヒット!コーナンPBのバスマットはどうやって生まれたのか?

高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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不要な機能を落として
値ごろ感を追求

 調査により聞こえてきたのは、事前に商品開発者が考えていたのとは異なるものだった。「毎日洗いたいので、固い生地は洗濯機に入れにくい」「そもそもバスマットは使っておらず、バスタオルで代用している」といった意見。珪藻土を使った商品については、「冬に乗ると寒い」という意見もあった。

 それらを集計し、数値化して優先順位を決め、求められる価格、機能、カラー展開などの要素に落とし込んだ。何度も試作品をつくり、女性従業員の意見を求めながら改良を繰り返した。そして完成したのが前述のバスマットである。

 こだわったのは「踏み心地」と「吸水性」。さらにタオル感覚で毎日、洗濯でき、家族が11枚使えるよう常に67枚ストックできる大きさ、買いやすい価格も実現した。何より女性の意見を聞くことで、バスマットとタオルの長所を組み合わせた「タオルバスマット」という新しい形態に生み出せたのは大きかった。

 同商品の単価は、付加価値型の商品の平均と比べて約3~5割安い。しかし販売点数が大きく伸長したことで、カテゴリー全体の売上高を拡大することに成功。売場では、商品の特徴やこだわりのポイントを紹介するPOPを添え、価値を訴求。今もユーザーが増えており、人気商品に育っている。

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記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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