沈まぬアパレルその9 道半ばのGMS衣料品改革

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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総合スーパー(GMS)にとって、衣料品はかつて収益の柱だった。食品購入のついでに、実用衣料や日用品をお客に購入してもらうというワンストップショッピングのスタイルが出来上がっていたからだ。しかし、そのようなスタイルが早々に崩れたにもかかわらず、大手スーパー各社はあまりにも従来型のチェーンストアの売り方から抜け切れなかった。GMSは今後、衣料品を従来のように収益商品に変えられるのだろうか――。

止まらない衣料品販売額の減少

 日本チェーンストア協会によると、2019112月における全国のチェーンストアの衣料品販売額は、対前年比7.1%減の約8797億円だった。06年の年間販売額は18088億円。約13年でざっと半減以上、1兆円近く減少していることになる。この減少傾向は現在も歯止めがかかっていない。

 巷間言われている原因が、「ユニクロ」、「しまむら」といったカジュアル衣料チェーンの台頭である。そして最近ではEC事業者にシェアを奪われているのも、GMSの衣料品不振を加速させていると見られる。

 「ユニクロのような業態はわれわれがやってしかるべき仕事だった」

 ダイエー創業者である故・中内㓛の発言だ。目に見えるかたちでユニクロが成長していくのを、GMS各社も手をこまねいて見ていたわけではない。

 

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