イオン北海道の青栁英樹社長が語る「規模の経済と地域密着を両立する」組織の作り方

2020/02/12 05:43
ダイヤモンド・チェーンストア編集部

北海道のスーパーマーケット(SM)、総合スーパー(GMS)市場は3陣営で占有率8割に達する超寡占化市場である。アークス(横山清社長)、コープさっぽろ(大見英明理事長)とともに「3極」を形成するのが、イオングループ。2020年3月、イオン北海道は同じグループのSM企業、マックスバリュ北海道(出戸信成社長)と経営統合し、さらなる事業基盤の強化、規模拡大を進める。業績好調に推移するイオン北海道の青栁英樹社長に、経営統合のねらいや今後の戦略を尋ねた。

道内3強時代を脅かす他業態の存在

イオン北海道 青栁社長
あおやぎ・ひでき●1961年生まれ。83年、信州ジャスコ(現イオン)入社。2007年、同社マックスバリュ事業本部東北事業部長、08年、イオンリテール東北カンパニー人事教育部長等を経て、13年、同社執行役員北陸信越カンパニー支社長。14年、同社執行役員店舗構造改革チームリーダー、15年、同社デジタル推進リーダー。17年、イオン北海道取締役兼執行役員営業本部長。18年、同社代表取締役社長(現任)、19年、マックスバリュ北海道取締役(現任)。

──北海道のSM・GMS市場は、イオングループとアークス、そしてコープさっぽろがそれぞれ約25%ずつのシェアを持つ、3強時代となっています。青栁社長ご自身は、そうした状況をどう見ていますか。

青栁 三者鼎立の状況は当面、変わらないと見ています。アークスさんは、八ヶ岳連峰型のSM連合の形成を進め、全国的にも存在感を増しています。コープさんは、宅配事業「トドック」が道内では独壇場で、配送網をさらに拡大しています。三者の牙城を崩すことは、容易ではありません。とはいえ、楽観はできません。向こう3年ぐらいで北海道の食品流通市場が、様変わりすると見ているからです。三者を脅かすのは、既存GMSやSMではなく、むしろ他業態です。

──といいますと?

青栁 全国でも同様でしょうが、北海道でも、DgS(ドラッグストア)やCVS(コンビニエンスストア)が、食品市場での攻勢を強め、GMSやSMのパイを奪っています。たとえば、北海道のDgSの2強であるツルハホールディングス(堀川政司社長)さん、サツドラホールディングス(富山浩樹社長)さんは、食品売場を拡大し、CVSは今まで手薄だった冷凍食品売場を強化しています。

 さらにリアル店舗は、ネット通販の攻勢にもさらされています。ECの食品流通は、これまでドライグロサリーが中心でしたが、「アマゾンフレッシュ」に代表されるように、これからは生鮮食品でも、ECがリアルのGMSやSMと激突するでしょう。

食を含めた「ヘルス&ウェルネス」を強化する

──そうしたなか、競合各社を、どのように迎え撃とうとしているのでしょうか。

青栁 当社では、グループの経営リソースを最大限活用しながら、他業態も含めた競合に負けないように、商品政策(MD)をテコ入れしているところです。

 具体的には、「ヘルス&ウェルネスの強化」を掲げ、DgSの向こうを張って、医薬品や美容用品に注力しています。北海道は、全国に比べて高齢化が顕著です。「健康寿命」の伸長が、官民共通の大きなミッションで、そうした地域ニーズに応えていかなければなりません。ただし、ヘルス&ウェルネス分野は、医薬品や美容用品だけでは完成しません。人間は、「食べること」ができなければ、「生きること」ができないから、食品の強化が重要なのです。

──では、その食品はどのように強化しますか。

青栁 GMSは、食品の地域一番店をめざします。つまり、幅広いニーズに対応できる品揃え、売場にするということ。たとえば、ヘルス&ウェルネスの実現のために栄養価の高い食品、おいしさや鮮度といった価値訴求型の食品も投入します。またCVSに対抗するために、総菜の品揃えを充実させ、高まる中食需要も取り込みます。その一方で、札幌などの都市圏では、小型SMの「まいばすけっと」も育成しています。家から近いという利便性とともに、リーズナブルな価格を打ち出しています。

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