#4 ツルハには敢えて挑まず…アインとサツドラ、「ナンバー2企業」たちの流儀

北海道新聞:浜中 淳
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規模拡大で得られた、“高粗利”というご利益

「ツルハグループ」の看板を掲げて営業する「くすりの福太郎」の店舗(東京都渋谷区)。首都圏に根を張り、調剤部門のレベルも高い同社を子会社化したことが、ツルハホールディングスを「国内トップ」の座に近づけた
「ツルハグループ」の看板を掲げて営業する「くすりの福太郎」の店舗(東京都渋谷区)。首都圏に根を張り、調剤部門のレベルも高い同社を子会社化したことが、ツルハホールディングスを「国内トップ」の座に近づけた

 ツルハが掲げた1000店という数字にも単なる「大きな目標」以上の意味合いがありました。「メーカーとの価格交渉力を付け、質の高いプライベートブランド(PB)をつくるために必要な規模」という意識です。事実、07年にくすりの福太郎(千葉県鎌ケ谷市)を買収し、グループ店舗数が700店規模に近付いたあたりから、ツルハのPBの商品力は飛躍的に高まっていきました。

 それ以前のツルハは、生活用品の価格を下げて集客力を高め、粗利の高い医薬品で稼いでいましたが、医薬品の価格自体は決して安くなかった。それが2000年代半ばごろには、ツルハでナショナルブランド(NB)の医薬品を買い求めようとすると、薬剤師から同じ効能で価格の安いPBを勧められることが増えました。特定のNBによほどの思い入れがない限り、お客は喜んで安価なPBを選びます。ツルハにとってもPBの方がNB以上に粗利を取れるのです。こうして顧客とWIN-WINの関係ができれば、あとは加速度的に競争力が高まる一方です。

 12年に目標の1000店を達成したツルハHDは、杏林堂薬局(浜松市)などの買収を経て18年には店舗数を2000店台に載せました。創業時から現金商売を基本とし、財務基盤の強固なツルハHDはM&A(合併・買収)でも優位な立場にあり、今後も業界トップを争い続けていくことは間違いないでしょう。

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ドラッグストアとも百貨店とも競合しないアインズ&トルぺ

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