ウォルマートのビジネスモデルは全世界で通用する=西友兼ウォルマートジャパンCEO

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
構成:中村麻里
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直輸入を強化 牛肉=西友のイメージをつくる

──新たなPBの展開のほかに、12年はグローバルの調達網を生かした直輸入商品の取り組みも強化しました。

デイカス 直輸入商品については、一つはウォルマート子会社であるイギリスのアズダ(ASDA)の子会社、アイピーエル(IPL)による一括輸入を始めました。これまで各取引先と直接やり取りしていたものを、IPLを一括窓口として商品を直輸入するというもので、より一層のコスト削減とスピードアップを図ることができます。

 アメリカ産牛肉も新展開がありました。当社はウォルマートの子会社ですので、ウォルマート価格でアメリカから牛肉を仕入れています。ちょうど今年に入って牛肉の輸入規制が生後20カ月から30カ月に緩和されたこともあって、牛肉を圧倒的な低価格で提供できるようになりました。アメリカ産牛肉については、売上が対前年比30%伸びています。

 また、今月からは牛肉プログラムを立ち上げています。牛肉の価格を大幅に引き下げ、TVCMも打っています。その効果もあり売上が順調に伸びています。牛肉は来店者数を増やす効果のあるカテゴリーですので期待しています。

──それでは今後、さらに牛肉に注力するのでしょうか?

デイカス はい。当社としてはよい商品を圧倒的な低価格で日本の消費者に提供できる絶好の機会です。ウォルマートの購買力を活用しつつ、これからどんどん取扱量を増やしていきたいです。

 しかも、値下げ対象は米国産だけではありません。もちろん、米国産は当社の強みではありますが、日本のお客さまは国産牛に対する需要が大きい。日本のお客さまのニーズをすべて拾って、すべての商品の価格を下げたいと考えています。国産、輸入にかかわらず、すべての牛肉を値下げして「牛肉=西友」のイメージづくりをめざします。

──IPLを通して一括輸入をすると、仕入れ価格はどれくらい下がるのでしょうか?

デイカス アイテムによって違いますが、大幅なコスト削減になっています。値札を見れば他社よりもだいぶ低いですし、かといって当社の利幅を削っているわけではありません。主な取扱商品はアズダのPB商品やビール、菓子などです。

──ウォルマートからの直輸入は生鮮食品が主流ですか?

デイカス 確かに生鮮が主流で今後も増やしていきます。しかし、グロサリーなど、まだまだ取り扱いを増やす余地のあるカテゴリーもあります。当社の目標は今後5年で直輸入商品の取扱高を3倍に増やすことです。そのためには全カテゴリーで直輸入商品の割合を拡大する必要があります。

──直輸入商品は膨大な選択肢があると思いますが、誰がどのように輸入する商品を選んでいるのでしょうか。

デイカス 日本人の担当者がアメリカとイギリスに常駐していて、日本のバイヤーと協力してお客さま目線で商品を選んでいます。日本での売れ筋を意識して商品を選ぶことはもとより、日本では売っていない独自の商品も積極的に展開しています。

 たとえば当社で扱っている「ベティクロッカー(Betty Crocker)」のブラウニーは、典型的なアメリカの菓子ですが、国内の競合他社にはなかなか売っていないのではないでしょうか。日本の主婦にはブラウニーにまだなじみがないかも知れませんが、新しいニーズを掘り起こせる可能性があると考えています。

 つまり、今あるニーズと、今後生まれるかもしれないニーズの両方を考慮して商品を選んでいます。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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