西友の新PB戦略 NBベンチマーク型から独自の価値持つブランドへ飛躍できる理由!

阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
Pocket

西友(東京都/リオネル・デスクリーCEO)は、コロナ禍における消費者ニーズの変化を踏まえた、今後のプライベートブランド(PB)戦略について明らかにした。現在西友の店頭では、スーパーマーケットのPBらしからぬエッジの効いた商品が存在感を見せており、そうした商品の中からヒット商品も出ている。なぜ、西友はPBの立ち位置を、ナショナルブランド(NB)のベンチマーク型から独自性の高いブランドへと転換できたのか。

PBらしからぬ“攻めた”フレーバー

 「ポテトチップス焼き鳥のタレ味」

 こんな一見ニッチな商品は、NBメーカーでも(地域限定などを除けば)おいそれと出せないのではないだろうか。ましてやこれがスーパーマーケットのPBだとしたらどうだろう。「どうした!?」と店頭で思わずツッコミを入れてしまうかもしれない。

 開発したのは西友、同社のPB「みなさまのお墨付き」シリーズだ。

 みなさまのお墨付きは2014年からスタートしたブランド。1品目あたり100人以上の消費者モニターに実際に食べてもらったり、使ってもらい、評価をフィードバック。この商品を支持すると答えた消費者が70%以上の場合に限り商品化が認められていた。多くの小売業のPBが「小売側の視点や外部の専門家の視点で価値を認めた」商品であるのとは対照的で、商品の品質や味についての担保を消費者の評価を基にしている点で、他にはないブランディングを行うPBであると言えるだろう。

 多くの小売業とは異なるポジショニングでPBを開発できる理由を、西友の成長戦略にPB戦略を落とし込みながら、解説していきたい。

1 2 3

記事執筆者

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態