中期経営計画「CAP-I」を推し進め、会社を変える=イズミヤ 坂田俊博 社長

聞き手:下田健司
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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PBを強化、13年度に売上高構成比12%が目標

──天六樋之口店では、調理品や半調理商品を集めてコーナー展開するなど新たな試みが見られます。商品や売場での取り組みを教えてください。

坂田 重要なキーワードになっているのは「簡便」です。野菜では、カットした商品を充実させるほか、フライパンなどで加熱すればすぐに食べられるような商品を増やしています。それらは「レディー・トゥー・クック」(すぐに調理できる)、「レディ・トゥ・イート」(すぐに食べられる)といった売場でまとめています。

 同じ商品でも、お客さまが求めるニーズは変化します。たとえば、年末に売れるエビなら、昔は有頭エビがいいとされてきました。しかし今は、ゴミが出ないという理由で頭のないものの需要が高まっており、殻を取り除いた商品も売れ筋になっています。ニーズの変化をとらえて、迅速に商品に反映することも大事だと考えています。

 お客さまのニーズをとらえて、商品のカテゴリー自体が必要かどうかという視点からも、商品や売場を見直しているところです。たとえば、平野店では駅前の小型店であることを考慮し、大型家電売場を廃止しました。従来のやり方や考え方にとらわれることなく、売場を活性化し、ひいては損益分岐点の引き下げにもつなげたいと考えています。

──大手小売業各社はこぞってPBを強化しています。ユニー(愛知県/前村哲路社長)、フジ(愛媛県/尾〓英雄(おざき・ひでお)社長)との共同開発によるプライベートブランド(PB)については、今後、どういう展開を考えていますか。

坂田 当社では現在、約1200アイテムを販売しています。食品のほか生活雑貨、衣料品もあります。3社共同開発によるPBですが、実はすべて同じ商品を扱っているわけではありません。日配品などは、その地域に合った商品が一部存在します。

 これまで、価格訴求力のある「Style ONE(スタイルワン)」を中心に、コーナーエンドや目立つ場所などでアピールしてきました。さらに、力を入れているのは、価値訴求型の「Prime ONE(プライムワン)」です。また当社には、イズミヤ独自のPB「good-i(グッドアイ)」もあり、これを含めて13年度にはPBの売上高構成比12%を目標に拡大していきます。

 消費者の節約志向が強まったことで低価格のPBへの抵抗感もなくなってきました。低価格志向という消費者ニーズに応えながら、着実に利益を確保できる点で、もはやPBは不可欠です。また今後、消費税が引き上げられる見通しですが、商品価格に単純に転嫁できない可能性も考えられます。その際、利益貢献度の高いPBで負担分を吸収するという意味でも広げていく必要があると考えています。

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構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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