中期経営計画「CAP-I」を推し進め、会社を変える=イズミヤ 坂田俊博 社長

聞き手:下田健司
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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グループ企業を活用し、夕食宅配サービスを開始

──12年9月からスタートした、夕食を宅配する新サービス「夕食の宅み菜(たくみな)」のねらいを教えてください。

坂田 高齢化が進行すれば、店舗で買物をしたくても、来店できないお客さまも増えるでしょう。それに対し、こちらから食事を届けるサービスで、お役にたてればとスタートしたサービスです。このサービスは、当社のグループ企業であるデリカ・アイフーズ(大阪府/安部昇市社長)が手がけているもので、今年9月に総菜工場が本稼働するのを前に、試験的に実施している段階です。1日の配達数は現在、250~300食ほどですが、新総菜工場が稼働すれば将来的に1万食を目標に拡大したいと考えています。

 当社ではネットスーパー事業も展開しています。お客さまの自宅に商品を配達するという点では同じですが、効率面から見ると、この2つはまったく別物です。夕食宅配サービスは、水曜日までに翌週分の注文を受けつけ、配達します。これに対して、ネットスーパーは店舗を拠点に注文を受け、その日のうちに配達します。日によって発注量にばらつきがあるため、配送コストをどうコントロールするかが課題になっています。

──ネットスーパー事業の収益化については、どう見ていますか。

坂田 ネットスーパー事業は、サービスの展開方法を変更してきており、黒字化の見通しがつきつつあります。以前は、広範囲にチラシをまいて会員を募る手法をとっていました。しかし現在は、エリアを決め、その中で一定数の会員が集まった段階でサービスを開始するというやり方に変更しています。こうすることで、収益が見込めるようになりました。

 ネットスーパーの1回当たりの購入金額は約4000円です。1日120件の注文があれば、利益が出るようになります。本来は、70歳以上の年齢層の方に利用してもらいたいのですが、今のところパソコンを日常的に使っている30~40歳代が多くを占めています。ネットを利用した買物が拡大していますから、このサービスは継続的に力を入れていく方針です。

──13年度は中期経営計画の2年目に入ります。変革に向けた意気込みを聞かせてください。

坂田 テーマとして掲げる「損益分岐点の引き下げ」そして「成長に向けた基盤づくり」をなんとしても実現したいと考えています。その一環で今年4月からは新たな人事制度も導入します。従来の年功序列型から、がんばった人が報われる評価法も取り入れる予定です。

 これからの2年で、会社が大きく変化することを期待しています。今後、中国での事業も軌道に乗せ、成長路線への道筋をつけたいと考えています。国内では競争がさらに激しさを増し、業界再編も加速度的に進むはずです。そのとき、勝ち残れる企業となるため、必ず成果に結びつけたいと思っています。

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構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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