驚異のEDLPで快進撃、売上高2000億円を突破=オーケー 飯田勧 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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「売上を上げることしか言っていません」

 値入れ率20%、売上高経費率14%、経常利益率は6%──。

 オーケーの経営方針は、「高品質・Everyday Low Price」だ。特売日がない分、同社の新店を認知してもらうまでには時間がかかる。そして、開店1年後くらいからグンと売上が伸び始める。その上、会員組織であるオーケークラブの会員には導入当初の消費税相当額(3%)を割り引き、EDLPに磨きをかけている。現在、会員数は実に198万人を数える。

 EDLPの前提条件はEDLC(Every day Low Cost)であるが、飯田社長は「オーケーは経費率が低いのではない」と言い切る。「全体の経費は高い。CASなどの設備も高額です。ただ、売上が大きいから、率が下がっているだけなのです。だから社内では売上を上げることしか言っていません」。

 実際、期末現在60店舗を展開する同社の1店舗当たりの売上高は、35億8100万円と非常に大きい。

 1平方メートル当たり売上高は202万円と上場食品スーパー企業との比較ではオオゼキ(東京都/石原坂寿美江社長)に次ぐ、第2位の高さを誇っている。

 拡大路線を支える従業員の強化にも乗り出しており、10年4月には大卒130人、高卒240人の合計370人を採用した。正社員の層を厚くして、新店出店による戦力低下を防ぐことを意図している。入社6年経過後、28歳で店長をめざす。

 「オーケーの社風『極めて謙虚で、極めて誠実、極めて勤勉』を守ってオーケーを支え、次世代につないでゆく社員に年収だけではなく資産形成も含め豊かな生活を確保する仕組みを創り、『オーケーで仕事をしてやり甲斐もあり豊かになって幸せだ』と社員に喜んでもらいたいのです」(飯田社長)。

 ところが人事面では、「10%ルール」という厳しい「ムチ」がある。営業部門の職種ごとに、評価順位で下位の10%を自動的に配置転換するものだ。たとえば、店長も10%は降格になり、1年間勉強して出直す。「外れた人には外れた人のコースがあります。もちろん、どこかで復活のチャンスもあるのです」(飯田社長)。

 厳しい制度がある一方で、「アメ」も持っている。店長、部門チーフ、部門バイヤー、営業各部門の統括責任者などの数値責任者には四半期ごとに業績に応じて特別賞与を支給している。年棒×60%×(4分の1)が相当額となる。

 こんなユニークで異質な仕組みがオーケーの快進撃を支えている。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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