売価を引き下げることで買い上げ点数を上げ、地域シェアを高める=カスミ石原俊明 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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出店の勝ちパターンを増やす!

──商品発掘にしても、店の営業力強化にしても、継続的に進めるためには、基になるのは人材育成です。従業員のマネジメント能力開発を進めていると聞いています。

石原 管理者のマネジメント能力向上を目的とした実践教育を去年から進めています。今期はその対象を営業現場の第一線を担うチーフ職にまで拡大しています。

 その効果は絶大で、店長と販売部長の距離が縮まり、本部の考えが店全体で具現化されるようになりました。従来の店舗と本部の関係、店長と部門の関係が大きく変わってきています。そういう意味では、日々成果を実感できるので、店回りをするのがとても楽しみですね。

──次にコスト削減についてお聞きします。現在どのようなことに取り組んでいますか?

石原 部門ごとの縦割り業務から、全体最適へとオペレーションの組み換えを行っています。商品補充は精肉部門や日配部門の補充ではなく、朝10時までにやる商品補充だ、ということ。部門は関係ないのです。だから業務を一度すべて“見える化”して、効率的なかたちに再配置するということを行っています。

 効率的な再配置を行うために、部門に属するのではなく、店長の管理下で、横断的にさまざまな業務をする人員も配置しています。この時間は鮮魚部門の人時売上高を上げるために試食業務を、この時間はバックヤードの清掃業務を、というように部門横断で作業を行う人員です。こうすることで、ムダをどんどん排除しています。

──最後に出店戦略について教えてください。

石原 年間5~7店舗出店していきたいと考えていますが、なかなか計画どおりには進んでいません。というのも、当社は“8勝2敗”という割合で、新店を成功させたいと考えています。その割合を保とうと物件を精査すると、ゴーサインを出せる物件が現在は少ないのが実情だからです。

 しかし、出店をしなければ成長戦略は描けません。競合店が多いエリアだから出店しないという単純なことではなく、人口がそれなりに多ければ、“勝つ出店”にする方法はいくらでもあると思います。工夫しながら出店の“勝ちパターン”を今後増やしていきたいと考えています。当然物件の中身を精査したうえで、より効果の高いところに投資していく方針は変わりません。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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