売価を引き下げることで買い上げ点数を上げ、地域シェアを高める=カスミ石原俊明 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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 特売で売れる商品というのは、そうたくさんあるわけではありません。お客さまもそのことをご存知で、「毎回、同じ商品を対象にしているだけね」「こういう商品は安くなることがないのね」というお声をいただきました。そのお客さまのご不満、ご不便を解消しようと、毎週木曜日、酒類や総菜等を除く全商品を1割引きで販売しています。

 ただこれは、原価が低減されたわけでなく、オペレーションコストと商品ロスの削減分を原資にしています。

──生鮮食品、とくに相場に値段が左右される青果の値ごろ感はどのように創出しているのですか?

石原 生鮮食品については、相場に関係なく上限売価を決めて販売しています。たとえば、ねぎは、3本198円以上の値段では売りません。

 集荷はたいへんですが、それがわれわれの仕事です。相場高の中で、お客さまから「いいね!」と言っていただけることは何なのか、を突き詰めていった結果です。これが1円共感宣言から始まった、共感創造の取り組みなのです。

──生産者とタッグを組んで仕入れを行うのですか?

石原 いいえ。100%当社のリスクで仕入れます。そうしないと偽のメッセージになるからです。ただ、たくさんの品目でそれができるかと言えば、まだまだ力不足だからそれほど多くの品目はできません。少しずつ広げていければよいと思っています。

──市場から調達した場合は、赤字になることもあり得ます。それでも是認されているわけですか?

石原 それでもやります。それが共感創造の使命だからです。相場が高いときの値ごろ感ではなく、お客さまが料理をするときの値ごろ感を訴求していきます。

農業参入も本格的に検討中

──市場以外の調達については、どのように進めていますか?

石原 従来の取引産地だけではできないものは、産地を広げています。一方でニンジンや玉ねぎは、外国という産地も選択肢としてあります。だから、お客さまの購買代行業として、グローバルとローカルを組み合わせて、継続して提供できることを重視して取り組んでいます。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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