アークスとユニバースの経営統合は21世紀の流通革新の象徴=アークス 横山 清 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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 そうしたら、原さんが08年5月に亡くなられて、この話は立ち消えになりました。ところが、10年初めに再び三浦さんと会って以降、話が急に進んでいきました。暮れには話がまとまり、今年3月11日のCGC総会の翌日に大筋を決めることにしていたのですが、東日本大地震が起こった。それは大変でした。千年に一度の大地震のときに同じ場所にいて、翌日大筋が決まり、4月13日に機関決定し、6月29日の発表に至ったわけです。

精神論では戦っていけない時代に

──SM市場は過当競争が続いています。今のSM市場をどう見ていますか。

横山 SMのマーケットは大きいのですが、ある意味ではニッチマーケットでもあります。というのも、ほとんど主要なエリアは大手が押さえている。自己卑下しすぎる表現かもしれませんが、われわれは落ち穂拾いみたいなことをしている。百貨店の何倍ものマーケットがあるのに、SMは落ち穂拾いどころか、それ以前の草刈り場になっているような状況です。

 20年ほど前なら、一生懸命に商人道を貫けばお客さまに支持してもらえるし、大手にも負けることはない、という精神論が生きていました。しかし、今はこの精神だけではどうしようもない。その意味では、やりにくさも残していながら、最も具体的で、最もわかりやすいアークス方式が有効になってくる。このアークス方式が今、新しい段階を迎えているのです。成否は努力と運の両輪で決まります。ゼロからの出発、エンデバー(努力)ですね。

 全国的に限界集落が増えてくる中で、どういう役割を果たすかは、長期的にではなく短期的に迫られています。10年も経てばガラリと変わりますよ。いや実際もう変わっていますからね。

 企業規模が大きいからといって、安泰でもなんでもないのは百も承知ですが、やはり小さくてはどうしようもない面がある。安売り競争には参戦せずに、ひたすら真面目にお客さまのために、よい商品をよいサービスで提供すれば、多少高くても買ってもらえるといったことに逃げ込む経営者がいるわけです。それはそれでいいのだけれども、これも続かないことははっきりしています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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