アークスとユニバースの経営統合は21世紀の流通革新の象徴=アークス 横山 清 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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──SM業界の再編は避けられないということですか。

横山 3月の東日本大震災で、これまでSM企業が潜在的に抱えていた地域性の問題、企業規模の問題、後継者の問題が顕在化しました。年明けからは、企業内の矛盾や組織上の問題などが露になり、業界再編が加速するでしょう。

 ユニバースのアークス入りで売上は4000億円を超えますが、けっして大きな数字ではありません。けれども、これは数字の大きさではないのです。一つの完成形と未来性が相まって、新しいものをつくりあげていく。「革新は辺境から」とよく言われます。流通業界の今日的な革新は、大げさに言えばアークスとユニバースの経営統合がその象徴になるでしょう。

──アークスの今後のM&Aでは、一定規模以上の企業を取り込むことになるのでしょうか。

横山 取り込むというのか、飛び込まれるというのか、手をつなぐというのか。いずれにしても、売上1000億円、2000億円という企業がたくさんあるわけではないので、やはり300億円くらいの売上規模を持ちながら、いろんな課題を抱えて規模を維持できないといった企業になるでしょう。

 かりに、われわれと競争関係にある企業であっても、それはまた時の流れがあって、合従連衡があるかもしれない。何かのきっかけで、マーケットはがらりと変わります。ライバル関係にあって手を組めないとしても、条件を調整すればいいことです。

中小企業体質を持ち続けざるを得ないのがSM

──アークスの会長にユニバースの三浦社長、副会長に福原の福原朋治社長が就かれました。

横山 福原さんは「降りてもいいよ」とおっしゃったのですが、三浦さんが「福原さんも入れたほうがいいのではないか」ということで、3人代表制になりました。ダメだったら修正して前へ進めばいいのでね。今の政治のように足の引っ張り合いをしていたら、経営統合の効果どころか、生き延びられるはずがありません。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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