脱スーツではなく、スーツ注力で黒字化!青山商事、業績回復引っ張るオーダースーツ戦略とは

2022/08/30 05:55
    堀尾大悟
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    オンライン・オフラインの融合で店舗スペースを効率化

    デジラボ接客イメージ
    「デジタル・ラボ」を用いた接客イメージ

     「SHITATE」を含めた青山商事のビジネスウェア事業を陰で支えるのが、2016年から展開する販売システム「デジタル・ラボ」だ。店内にタッチパネル式のデジタルサイネージを設置。全国に700店舗ある「洋服の青山」の店在庫と連動しており、来店した店舗に商品がなくても、他店の在庫を一覧できる。

     スーツを購入する際は裾直しなどの直しが入るので、受け取りに再来店するのが通常だ。しかしデジタル・ラボで購入したスーツはオンラインストアの販売ルートに乗るので、裾直しなどをしたスーツは自宅に配送される仕組みになっている。顧客にとっては再来店の手間が不要になり、利便性の向上につながる。

     一方、店舗側にとってのメリットは、店内に大量の在庫を置かずに済むのでスペースの有効活用が図れること。スーツ売場を縮小し、その代わりにビジカジやレディースの売場を新設・拡充するなど、各店舗の地域特性に合った売場展開を図ることができる。

     「当初は『青山なのにこれしか在庫がないの?』というお客さまの反応が不安視されたが、実際にはそのようなことはなく、逆に『買い物の幅が広がった』と好評を頂いた。今では大規模店舗にも順次導入している」(長谷部氏)

     ある地方の大型店舗では、デジタル・ラボの導入によって300坪あった店舗面積を200坪に縮小。残り100坪をフランチャイジー事業のフィットネスジムに改装し、スペース効率を高めることができたという。

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