そごう・西武、1日売却=セブン&アイ、米ファンドに―労組は61年ぶりスト決行

時事通信社
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西武池袋本店前で抗議活動をするそごう・西武労働組合の組合員
〔写真説明〕西武池袋本店前で抗議活動をするそごう・西武労働組合の組合員=31日午後、東京都豊島区(時事通信社)

 セブン&アイ・ホールディングスは31日、臨時取締役会を開き、傘下の百貨店そごう・西武を9月1日に米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(FIG)に売却することを決議した。主力のコンビニ事業での成長戦略に集中する。そごう・西武への貸付金の約6割に当たる約916億円の債権放棄も決めた。売却に伴い、余剰人員が生じる場合には、セブン&アイの事業会社での受け入れも含め、雇用を維持する方針。

 一方、雇用継続への疑念を払拭できないそごう・西武の労働組合は31日、西武池袋本店(東京都豊島区)で百貨店業界としては61年ぶりとなるストライキを決行。全館で終日休業という異例の事態となった。 

 売却額についてセブン&アイは、そごう・西武の企業価値約2200億円をベースに調整し、9月1日の株式譲渡後に公表するとしている。

 そごう・西武の新たな親会社となるFIGは、家電量販大手「ヨドバシカメラ」を展開するヨドバシホールディングス(東京)と連携し、池袋本店などへの出店を計画している。FIGは、「200億円以上の改装と設備投資を行う予定だ。現代の消費者のテクノロジーに対するニーズに合わせた販売体験を再構築する」とのコメントを発表した。

 セブン&アイは昨年11月、そごう・西武をFIGに売却すると発表。しかし、ヨドバシが池袋本店で、百貨店の顔とも言える1階を含めたフロアへの出店を検討していることに、豊島区や地権者が反発。労組も雇用継続への懸念から抵抗し、セブン&アイは売却を2度延期していた。    

◇そごう・西武売却を巡る動き
2022年11月    セブン&アイ、そごう・西武を23年2月に米ファンドに売却すると発表
  23年 1月    売却を3月に延期
      3月    売却を再延期。時期は未定
      7月25日 そごう・西武労組、スト権確立を発表
      8月 1日 セブン&アイ、林そごう・西武社長(当時)を解任
        24日 セブン&アイ、そごう・西武に取締役派遣。取締役の過半がセブン側に
        28日 労組、31日のスト実施を通知
        31日 西武池袋本店でスト実施、全館休業に
            セブン&アイ、取締役会で株式譲渡を決議
      9月 1日 米ファンドへの譲渡完了(予定) 

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