ドンキの新業態「お酒ドンキ」で3500円の「ウィスキーがちゃ」と850円のペットボトルビールがバカ売れしている事情

取材・文:松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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 まずはお菓子ドンキからみていこう。食品の中でも菓子に注力したのは、コロナ禍で海外旅行に行けない今、世界中の菓子を集めてあたかも世界旅行をしているかのような雰囲気を演出するねらいがある。その施策の中心を担うのが「ワールドイーツ」コーナーだ。お菓子ドンキで取り扱う1200SKUの商品のうち、約55%が同コーナーで展開されている商品で、スナック菓子やチョコレートなどを中心に取り扱う。ワールドイーツは既存店でも一部導入しているが、既存店では主に中国・韓国など東アジアの商品を中心に品揃えしているのに対し、お菓子ドンキではそれらに加えタイやフィリピン、マレーシアなど東南アジア、さらにはヨーロッパ各国の商品まで展開。台湾名物のパイナップルケーキや韓国のハニーチップスなどが人気商品だ。また、クッキーやビスケットなどと相性のよい紅茶や、韓国やタイのカップ麺など菓子以外の食品も一部取り扱う。

お菓子ドンキ・お酒ドンキ「ワールドイーツ」コーナー

お菓子ドンキ・お酒ドンキ「ワールドイーツ」コーナー
世界各国の菓子を集めた「ワールドイーツ」コーナー
お菓子ドンキ・お酒ドンキの昆虫食コーナー
店内中央部で展開する昆虫食コーナー

 そのほか注目したいのは、店内中央部のエンドで展開する昆虫食コーナーだ。SNSへ投稿してもらうことをねらって話題づくりのために導入した。タガメやイナゴ、コオロギなどをチョコレート漬けにした商品などを取り扱っており、手づくりのPOPでは、実際に店舗スタッフが試食している様子を写真付きでリアルに紹介している。写真に掲載されている商品はなかなかにグロテスクな見た目をしているものの、意外にも購入者は女性のほうが多いという。

 そのほか、既存店と異なる取り組みとしては、「うまい棒」の30本セットなど、週末に来店が想定される家族連れをターゲットとした大袋商品を展開。また、お酒ドンキとの親和性から、駄菓子や珍味、缶詰商品などの品揃えも強化した。

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取材・文

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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