「平和堂石山」 11年ぶりにGMSを出店した理由とその進化の中身を徹底解説
売場フォーカス
建て替えにより食品売場を強化
石山店が建て替えで強化したのが食品売場だ。鮮魚部門では、刺身や寿司といった即食商品も拡充。まるでスイーツのような見た目にもこだわった商品も取り入れた。一方、対面コーナーには従業員が常駐し、鮮度の高い素材の提供にも力を注ぐ
「ジュディ フルラボ」コーナー
青果部門の一角では、店頭の素材を使ったジュースやサンドイッチなど、果物を手軽に楽しめるコーナーを設置。洗練された売場の演出にもこだわり、建て替え前は少なかった若いファミリー層の獲得につながっている
日本三大和牛「近江牛」を品揃え
精肉部門では日本三大和牛の1つに数えられる近江牛を品揃えする。また、交雑種として平和堂の独自ブランド「あじわい牛」も販売。連携牧場は他県にもあるが、石山店では滋賀県産の牛肉だけを扱う
鉄板で調理した出来たて総菜
総菜部門では、鉄板を使って店内調理したメニューを提供する「テッパンキッチン」コーナーを設置。お好み焼きや焼きそばのほか、写真の「だし香る手づくり出し巻き」などを販売していた
健康志向の商品を集積
加工食品は、健康志向の商品を積極的に取り入れ、売場の各所でコーナー化した。写真は具体例の1つで「“手軽に”バランス栄養食品」コーナー。POPを活用し各商品の機能をわかりやすく伝えていた
コミュニティ創出の場や機会を提供
1階に設置した約80席のイートインコーナーでは、料理教室や試食会など各種イベントを開催。同コーナー内のテナントのカフェは朝8時30分からモーニングサービスを提供する
和菓子の人気専門店を誘致
1階には大津市に本社を置く、高品質な和菓子で人気の専門店「叶匠壽庵」がテナントとして入る。百貨店にも多く売場を構える全国的に知られる存在で平和堂としては初の試み
回遊性を高めるフロアレイアウト
2階には衣料品のほか化粧品や医薬品などの売場を展開。ワンウェイのフロアレイアウトを採用し、主通路に沿って歩けば、フロア全体を回遊できるよう設計した。各所にマネキンを設置しコーディネート提案を行う
「テレワークコーナー」を設置
3階には生活雑貨やキッズ関連売場を配置。生活雑貨売場では、リモートワークが広がる新しい生活様式に対応し、テーブルやイスなどを集積して「テレワークコーナー」を設けていた
レイアウト
店舗概要
オープン日 | 2020年11月12日 |
店長 | 國松正義 |
営業時間 | 9:30~21:00 |
駐車台数 | 170台 |
投資額 | 31億6000万円 |
建物構造 | 鉄骨造り4階建て(売場は1~3階) |
売場面積 | 9060㎡(うち直営5350㎡) |
従業員数 | 正社員29人、パート・アルバイト130人 (8時間換算) |
取扱品目数 | 4万2387品目(食品1万507、衣料品1万1211、 住居関連品2万669) |
記者の目
旧石山店は、1957年創業の平和堂が4番目に開店した歴史ある店舗だ。開業に合わせて商品部を開設したほか、設備管理会社も設立している。これを機に同社は滋賀県および福井県を中心に年間1~3店の出店を開始することになる。その意味で、チェーン展開の起点となった、同社にとって思い入れの深い店舗とも言えよう。こうした歴史ある店舗も建て替え、さらに新たな店づくりに挑戦している点から、成長のために改革を続けるという強い意志を感じた。