ワタミが被災地でつくる大規模な「オーガニックの聖地」、その狙いと目的は
居酒屋を中心に多様な事業を手掛けるワタミ(東京都/渡邉美樹会長兼社長)は、20年以上前から有機農業を推進しているほか、自然エネルギーを活用した持続可能なビジネスモデル構築に取り組んでいる。社会的責任として企業にもサステナブルな取り組みが求められるなか、本稿ではその先駆的な事例として、ワタミグループが手掛ける「ワタミオーガニックランド」の戦略とともに、同グループがめざす「6次産業モデル」について解説する。
東京ドーム5個分の広大な敷地を活用
「ワタミオーガニックランド」は有機・循環型社会をテーマにしたオーガニック体験型施設だ。同施設の運営は施設と同名のワタミオーガニックランド(岩手県/小出浩平社長)が行う。東京ドーム5個分に相当する約23haという岩手県陸前高田市の広大な敷地に、農場やハウス、発電所など多様な施設や設備を段階的に建設していく計画となっている。2021年4月の開業時には、3.3haの規模で、カフェや芝生広場、農園、ブドウ園などで構成される「モデルエリア」が開放された。
同施設開発のきっかけとなったのは東日本大震災。陸前高田市長からの復興支援の要請をワタミが受けたことが始まりだ。「ワタミの宅食」のコールセンターを設けて雇用創出に取り組んだほか、ワタミ社員の陸前高田市への出向、復興支援イベントの開催など、さまざまな施策を講じた。
そうしたなか、陸前高田市から「中心市街地の用途が決まっていない約23haの敷地をどうにか活用できないか」という依頼があった。ワタミグループは以前からワタミファーム(千葉県/井関俊幸社長)を中心に有機農業を推進する過程で、食材のリサイクルや再生可能エネルギーの活用などに取り組んでおり、そのことを外部にわかりやすく伝える施設の開発を模索していた。そこに陸前高田市からの敷地開発の依頼が舞い込み、ワタミがめざす「6次産業モデル」を具現化する場所として「ワタミオーガニックランド」の開発が始まった。
修学旅行の“聖地”をめざす
ワタミが推し進める「6次産業モデル」では、生産から加工品の製造、販売までを一貫して手掛けることに加え、再生可能エネルギーの活用など環境への負荷が少なくなるような取り組みを実施し、サステナブルな循環型社会をめざす。「ワタミオーガニックランド」の目的は
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