ドリンクヨーグルト市場はブランドによって明暗、多様化するニーズに応えられるか

ライター:山田陽美
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2020年度上期は、コロナ禍で健康意識が高まり需要を伸ばしたドリンクヨーグルト市場だが、下期は一転、その勢いが低下し前年割れとなった。21年度もブランドによって明暗が分かれる結果となっている。

20年2月から金額PIは前年割れが続く

 KSP-POSのドリンクヨーグルトの期間通算(2020年10月~21年9月)の金額PIは、8772円で対前年同期比5.6%減となった。新型コロナウイルス感染拡大により、20年度上期は在宅勤務や外出自粛の影響で、家庭内消費が拡大。とくに大容量や多本パックなどのファミリーユース商品が好調に推移した。また、健康意識の向上で、機能性ヨーグルトの需要が高まったが、下期はその勢いがダウン。新しい生活様式が定着していくなかで、日々の体調管理や体型維持などニーズが多様化し、ヨーグルトユーザーがほかのカテゴリーに流出したことが予想される。

ドリンクヨーグルトのイメージ
健康意識の向上で機能性ヨーグルトの需要が高まったが、下期はその勢いがダウン。 i-stock/Fascinadora

 とくに21年2月~5月の金額PIは大きく落ち込み、2ケタ減となった。コロナ特需の裏年にあたることに加え、感染対策として手指消毒や外出時のマスク着用が徹底されていたことから、インフルエンザの流行が抑えられたことで、機能性ヨーグルトの需要が落ち込んだようだ。

 その一方で、好調な商品もあり、ブランドによって明暗が分かれるかたちとなった。好調なのは機能を明確にした商品だ。森永乳業の「ビヒダスヨーグルト 便通改善」は、便秘気味の人の便通を改善する機能性表示食品のヨーグルトで、続けることでその効果を実感できることからリピート購入につながっている。また、血圧、血糖値、中性脂肪の3つの機能性について表示した「トリプルヨーグルト」も高まる健康意識に対応して好調だ。

 同社ではそのほかにも今年10月に、加齢に伴い低下する認知機能の一部である記憶力を維持する機能性表示食品の「メモリービフィズス 記憶対策ヨーグルト」を発売した。さらに、手軽にプロテインが摂取できる「inPROTEINのむヨーグルト」を発売し、好調な出足となっている。この秋には新フレーバーの〈ブルーベリー風味〉をラインアップした。

 そのほか、雪印メグミルクの内臓脂肪を減らす「ガセリ菌SP株」を使用した「恵megumiガセリ菌SP株ヨーグルト」や、小岩井乳業の独自素材プラズマ乳酸菌を配合した免疫機能の機能性表示食品「小岩井iMUSEドリンクヨーグルト」なども好評だ。機能性表示食品を取得することで機能を明確に訴求できることから、ターゲットに刺さりやすいようだ。

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