物流課題の解決を推進する三菱食品、カギはIT活用・作業の見える化・製配協業

ライター:兵頭雄之
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新型コロナは、食品スーパー(SM)の物流にもさまざまな影響を及ぼした。食品卸トップの三菱食品に、安定供給体制の回復を図りながら、数々の物流課題解決に向けた取り組みを推し進める同社の取り組みについて聞いた。

非接触で対応可能な物流体制の確保

三菱食品SCM統括 統括オフィス室長代行 小谷光司氏
三菱食品SCM統括 
統括オフィス室長代行
小谷光司氏

 新型コロナ感染拡大当初、急激な需要増による供給不足が発生、食品スーパー(SM)などの店頭から、レトルト食品、ラーメンをはじめ、備蓄用の商品が消えた。

 瞬間的には「ふだんの2倍くらいの受注が入ったが、1. 5倍程度までしか対応できなかった」(三菱食品SCM統括 統括オフィス室長代行の小谷光司氏)

 納品までのリードタイムを延ばす、現着時間の緩和、商品を限定しての配送などに取り組んだが、「発注のあった小売に対し『0』という事態が生じないよう、エリア単位で営業部門と物流部門が一体となって、人力による受注調整を行うのが精いっぱいだった」(同)。正常化までには半年近くかかったという。

 こうしたコロナ禍での混乱を踏まえ、三菱食品では「非接触で物流体制をどこまで確保できるか」という課題に取り組んでいる。

デジタル化された物流センター
三菱食品では「非接触で物流体制をどこまで確保できるか」という課題に取り組んでいる

 メーカーでも、小売業でも、事務部門は出社率が下がっており、受注、発注、出荷調整等の電話確認には予想以上に時間がかかる。リモートワークでは、FAXでのやり取りは確認ができない。これら不具合をなくすため、家でもオフィス並みの仕事が処理できるネットワーク環境の整備、受発注のデータを直接ホストに取り込みできる方式の構築などを進めている。

 「出社率30%以下を維持しながら、スムーズに受発注処理ができる体制ができあがりつつある」(同)

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