減塩、ハードルの高い減塩への糸口

クックパッド データアナリティクスグループ長:渡辺 史、ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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日本最大の料理レシピサイト「クックパッド」は367万品のレシピデータを有しており、月間約5700万人が利用するアクセスログデータをもとにしたマーケティング支援のための分析サービスを提供している。本稿ではその大規模データをもとに「減塩」の実態を探るべく減塩にまつわるトレンドを分析した。

取り組みハードルの高い減塩

 厚生労働省が令和元年に実施した「国民健康・栄養調査」の結果によると、食塩摂取量の平均値は10.1gであり、10年間でみると有意な減少傾向にあるが、5年間ではほぼ横ばいとなっている。厚生労働省が基準としている1日あたりの塩分摂取量は男性7.5g、女性6.5g未満であり、WHOの推奨ではさらに低い5.0gと、世界的にみても日本の塩分摂取量が推奨量以上と高止まりしていることがわかる。

塩のイメージ
クックパッドで「減塩」のレシピ検索をすると約1.5万品のレシピがヒットし、注目度が高いテーマであることがわかる。(i-stock/arto_canon)

 また、味の素株式会社が実施した減塩意識調査「みんなの減塩調査 2020」では減塩に取り組みたいと考えているのは7割に上る一方で、行動できているのは3割未満という調査結果が出ており、減塩は多くの日本人が取り組みたいと考えている一方で、非常に取り組みハードルが高いテーマでもあることがわかる。

スープが減塩の入口に

 クックパッドで「減塩」のレシピ検索をすると約1.5万品のレシピがヒットし、注目度が高いテーマであることがわかる。

表1:「減塩」と組み合わせ検索されやすいキーワードランキング 表1は「減塩」との組み合わせ検索されやすいキーワードであり、「おかず・高血圧・梅ぼし・スープ」などのキーワードが高い傾向にあることがわかる。塩分が多い梅ぼしや高血圧といった文脈で減塩が求められるのは自然なことだが、それ以外の文脈では食材起点ではなく日常の「おかず」や「スープ」を起点として減塩に取り組もうと考えるユーザーが多い。とくに2019年以降はスープが上昇傾向にあり、普段あまり意識しない減塩への取り組みを、実際に行動に移すための入口として選ばれていると推察される。

 スープの投稿レシピの材料数を見ると、2019年から21年にかけて平均調味料数が3.1個から3.3個に増加、平均食材数も5.4個から5.5個に増加している。多様な調味料による味付けや、近年流行りの具沢山なおかずスープなど、相対的にスープ量・塩分量が抑えられているといったことも、減塩との相性がよい要因の一つだと考えられる。

スープ調味料の減塩トレンドは「生姜」

図1:減塩スープとスープの調味料使用率 では、減塩スープではどんな調味料が用いられているのだろうか。図1は、2021年クックパッドで保存されたスープレシピで、レシピタイトルに「減塩」を含むスープ(減塩スープ)と含まないスープ(スープ)の調味料使用率を比較し、差分が大きい調味料TOP10を示した図である。

 この図から、「豆板醤」や「ブラックペッパー」などの香辛料を用いた味のメリハリ付けや、「鶏がらスープの素」「ほんだし」などのだしを用いた旨味による満足感の向上、「サラダ油」「オリーブ油」などで炒めた具材を用いた具沢山スープなどが、塩分の代替手段としてさまざまな調味料が用いられて減塩を実施していることがわかる。

 なかでも普通のスープより減塩スープで最も使われやすい調味料は生姜となっており、にんにくも含めた香味野菜としての香り付けや、香辛料としての辛味、はたまた具材にもなるなど、塩分を代替する要素を数多く持っており、汁物との相性も相まって減塩スープでとくに使われやすい食材として挙がっているのだろうと考えられる。

 今後、減塩をテーマにした店頭・販促・マーケティング訴求を行なっていく際には生姜などの香味野菜や香辛料を取り入れたレシピを採用することで、生活者の取り組みハードルを下げつつ、満足感の高い施策を行うことができるのではないだろうか。

文=渡辺 史 (クックパッド データアナリティクスグループ長) 問い合わせ: tabemiru-support@cookpad.com
【クックパッド】クックパッド(https://cookpad.com)は、1998年3月にサービスを開始した日本最大の料理レシピ投稿・検索サービス。月次利用者数は約5700万人、20~40代女性の多くが利用している。 *注1 2021年2月時点

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