仏カルフール買収騒動、加クシュタールのディールはご破算も、別の大手に買収される可能性も

太田美和子(リテイルライター)
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サークルKの外観
欧州でも「サークルK」を展開するアリメンタシオン・クシュタールはカルフール買収を断念した

 「わが国の食料安全保障の問題だ」とフランスのブリュノ・ルメール経済・財務・復興相はテレビ番組で熱弁した。1月13日、カナダを本拠に、コンビニエンスストア(CVS)とガソリンスタンドを世界各地で運営するアリメンタシオン・クシュタール(Alimentation Couche-Tard:以下、クシュタール)が、フランスの小売大手カルフール(Carrefour)の買収に向けた協議を始めたことが明らかになった。これに対して、ルメール大臣は強く反対を表明したのだ。カルフールは、フランス国内にハイパーマーケットやスーパーマーケット(S M)、CVSなど、合わせて約5500店舗を展開する。そのような企業が外国籍になれば、安定的な食料供給が危機に瀕するというわけだ。

リテイルライター 太田美和子
リテイルライター 太田美和子

 カルフールはフランスのほか、欧州や南米、アジアなど30カ国以上に計約1万2300店舗を展開し、売上高は807億ユーロ(約10兆2000億円)を超える。そのような巨大小売グループが一体なぜ、1株当たり20ユーロ(約2520円)、合わせて162億ユーロ(約2兆円)の買収交渉のテーブルについたのだろうか。

 カルフールグループの売上高はこのところ堅調で、なおかつ既存店売上高成長率も前年を上回っている。一方で、純利益は芳しくない。2016年度と17年度は赤字に陥った。18年度から立て直しのための5カ年計画「カルフール2022」を開始し、経費削減と次なる基幹事業の構築に乗り出した。18年から不採算事業の撤退や本部機能の縮小などを実施する一方で、CVSや小型SMの大量出店、ECへの投資を始めている。

 しかし、フランス国内の食品・日用消耗品市場でのマーケットシェアが回復する兆しはまだ見えない。1 8 年5月の20.4%から21年1月には19.5%と1ポイント近く減少した。SM業界を取り巻く環境が変化するなか、フランスの小売業界ではSM企業が売却を決断するのも仕方ないという見方すら出始めている。

買収断念も残る
交渉再開の可能性

 ルメール大臣の厳しい発言を受け1月16日、クシュタールとカルフールは

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