ウォルマート、20年1月期の営業利益は6.3%減、米国のEC売上高は37%増

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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ウォルマート売場
米小売大手ウォルマートが18日発表した年末商戦を含む第4・四半期(2019年11月─20年1月)決算は、1株利益と売上高がともに市場予想を下回った。シカゴで昨年11月撮影(2020年 ロイター/Kamil Krzaczynski)

 米ウォルマートが発表した2020年1月期の業績は、売上高(サムズ・クラブ事業の会費収入などを含む)が前期比1.9%増の5239億ドル(約57兆5500億円)、営業利益が6.3%減の205億ドルだった。主力の米国ウォルマート事業の営業利益は横ばいだったが、国際事業が減益となり、全体の足を引っ張った。前期に計上していたブラジル子会社の株式売却に伴う損失がなくなったことから、純利益は約2.2倍の148億ドルと大きく伸びた。

 米国ウォルマート事業の売上高は2.8%増の3410億ドル、営業利益は横ばいの173億ドルだった。EC売上高は37%増の高成長を続けた。ウォルマートのECは受注した食品や日用品などを店頭在庫から出荷するため、EC売上高の増加は店舗の売り上げを押し上げる効果がある。このため、既存店売上高も2.8%増と堅調だった。同社は配送料無料の会員制食品宅配サービス「デリバリーアンリミテッド」や利用者が不在でも自宅の中まで商品を届ける「インホームデリバリー」など新たなECサービスを強化しており、こうした先行投資が負担となって、営業利益は伸びなかった。

 国際事業の売上高は0.6%減の1201億ドル、営業利益は31.0%減の33億ドルだった。ドル安の影響を受けたほか、昨年10月ごろから反政府デモなどの政情不安が続くチリ、EU(欧州連合)離脱で消費が低迷する英国などで売り上げが落ち込んだ。メキシコや中国は増収だったが、中国ではEC事業拡大に伴う先行投資や粗利益率の低下で営業減益となった。インドのEC子会社フリップカートの赤字も営業利益を押し下げた。

 会員制倉庫店のサムズ・クラブ事業の売上高(ガソリン販売を含む)は1.6%増の587億ドル、営業利益は8.0%増の16億ドルだった。既存店売上高は1.5%増、会費収入は2.5%増だった。

 21年1月期は売上高3%増(為替変動の影響を除く)を見込む。米国ウォルマート事業はEC売上高の伸びが30%増とやや鈍化する見通しだが、既存店売上高(ガソリン販売を除く)は2.5%以上の増加を予想する。国際事業の売上高は4%増を見込んでいる。設備投資は既存店の改装やEC関連、テクノロジーや物流関連などで約110億ドルを計画する。調整後の1株純利益は5.00〜5.15ドルと前期比1.5〜4.5%増となる見通しだ。

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