激化する中食争奪バトル 百貨店独り負けの理由とスーパーの伸びしろは?

稲垣昌宏(リクルートライフスタイル ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員)
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中食の購入が最も減ったのは「百貨店」

 2020年9月、「ホットペッパーグルメ外食総研」では、新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下でのチャネル別・中食購入状況の変化を調査した。その結果全9チャネル()のうち、同年7~9月と前年同時期を比較して購入が増えたのは、順に「外食店からのテイクアウト」(+21.4ポイント〈pt〉)、「持ち帰り専門店からのテイクアウト」(+17.5pt)、「スーパーマーケット(SM)、コンビニエンスストア(CVS)などの小売店」(+16.6pt)だった。一方でマイナス幅が大きかったチャネルは、「百貨店(デパ地下など)」が-26.3ptだった(チャネルごと単一回答、ptは「増加」-「減少」の差、N=1032)。

 コロナ禍では、感染防止の観点からイートイン利用の制約が大きい外食店が中食への参入を強化しており、中食市場でのシェアを拡大していることが窺える。その影響は、SMやCVSなどの小売店や、持ち帰り専門店の好調ぶりと比較すると、百貨店が大きく受けている可能性がありそうだ。もともと百貨店の中食は、外食企業が開発した専門店がテナント出店しているケースも多く、日常づかいの中食よりも単価が高い。外食店の中食参入で直接的に競合していると考えられる。

 次に、今後の中食購入チャネルの利用意向についても聞いた。すると、今後最も利用が増えそうなのは「外食店からのテイクアウト」(+12.2pt)で、一方の減りそうな筆頭は「百貨店」(-14.2pt)だった。都心部の百貨店の一部では、宅配事業者との協業で複数店舗の商品を送料1回分でまとめてデリバリーする取り組みを始める事例もあり、外食店との競争がより激しくなりそうだ。また、現状はあまり影響が見えていない百貨店以外の小売店も今後、外食店との中食での競合は避けてはとおれないだろう。

単価が高くとも食事を外部調達する需要はある

 さらに今回の調査では、15の中食メニューを提示し、それぞれどのチャネルで購入することが多いか質問した。

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