消費増税の駆け込みと反動、7割が「小さい」=11月ロイター企業調査

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東京都内のショッピングモールの様子
11月8日、ロイター企業調査によると、10%への消費税引き上げによる駆け込み需要と反動減は、前回の増税時と比べて「小さい」との回答が7割を占めた。写真は東京都内のショッピングモール。2018年1月15日撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 8日 ロイター] – 11月ロイター企業調査によると、10%への消費税引き上げによる駆け込み需要と反動減は、前回の増税時と比べて「小さい」との回答が7割を占めた。増税の影響は最小限に食い止められていると言えそうだ。ただ、今後の景気は停滞するとみて雇用・賃金ともに横ばいに据え置くとの回答は6割超。賃金については。IT化の流れに合わせた高度人材確保のために、「ボーナス」より「定例給与」拡大の動きが広がりつつある。

調査期間は10月23日─11月1日。調査票発送企業は503社程度、回答社数は245社程度だった。

増税インパクトは小さく

前回2014年の増税時と比べて、今年9月の駆け込み需要は「かなり小さい」が36%、「やや小さい」が37%、合計で7割超が「小さい」と回答。10月の「需要反動減」も「かなり小さい」は31%、「やや小さい」の40%を合わせると同じく7割程度となった。

前回と「同程度」は駆け込み・反動ともに25%前後、「大きい」との回答は駆け込み・反動減いずれも5%以下だった。

影響が少なくとどまった背景には、増税幅が2%と小さかったことや、食品の軽減税率やポンイント還元、耐久消費財の減税制度など需要変動回避策なども効果があったとみられる。

賃金雇用戦略、IT化や働き方改革で違いも

今後の賃金・雇用戦略について、雇用者、定例給与、ボーナスのそれぞれを拡大させるか、横ばいに据え置くか、低下させるか聞いたところ、6─7割程度の企業は現状は「景気動向が不透明」(卸売)として、いずれも横ばいとしている。

ただ「定例給与」については、最多は「横ばい」の62%だったとはいえ、「拡大」との回答は34%あり、「ボーナス」を増やすとの回答(24%)を上回った。

従来、企業では退職金や社会保障費負担の基準となる月額給与の引き上げよりも、業績連動のボーナスでの賃上げが主流だったが、今回調査ではむしろ月額定例給与の引き上げに積極的な声が目立った。

各社とも、少子高齢化で「人材確保には大きな問題意識を持っている」(ガラス)との意識が強まっていることがある。「不安定収入となるボーナスは横ばいにし、老後不安を解消するため安定収入としての月額給与を増やす」(紙パルプ)との方針を掲げる企業や、「IT化により省力化も進むため、人に求められる仕事の賃金は引き上げる」(情報サービス)といった声があった。

雇用者数については、「拡大」するとの回答は21%、一方「縮小」も16%あり、企業により方針はまちまち。「働き方改革などにより、従業員の増加はある」(食品)など、短時間労働者の増加によりシフト人員を増やす動きもあるが、「業容拡大は生産性向上で対応する」(サービス)という企業もある。

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