刺身や生酒も!冷凍前の味を再現する「凍眠市場」を扱うスーパーが増えている理由
食品卸業各社も、拡大する冷凍食品市場でのシェア拡大をねらった商品開発に注力している。伊藤忠食品(大阪府/岡本均社長)は、その中でも、一味違う取り組みで成長市場での地位を確立しようとしている。それが、リキッドフリーザー方式凍結機の製造・販売を行うテクニカン(神奈川県/山田義夫社長)と共同で創設した冷凍食品専門ブランドの「凍眠市場(とうみんいちば)」だ。“本物志向”のお客をねらった同ブランドの全貌をお届けしよう。
“20倍速”の急速冷凍で「とれたて・出来たて」の味と食感を再現
凍眠市場は、生鮮品や総菜、日本酒などを、テクニカン独自の液体急速凍結機「凍眠」で凍結させ、“とれたて”“出来立て”のおいしさをそのまま閉じ込めた冷凍食品約100品目(ギフト含む)を取り扱っている。
凍眠の最大の強みは、解凍後も、冷凍前の味と食感がほぼそのまま再現できる点にある。冷凍食品は解凍後、ドリップが出てしまい、風味や品質が損なわれる可能性がある。しかし、凍眠では、食品を袋に密閉し、零下まで冷やしたアルコール液に浸して凍結させる「リキッドフリーザー方式」を採用し、従来の20倍のスピードで急速凍結させているので、食品の細胞の破壊を防ぎ、鮮度や品質を長期間(約半年~1年間)維持できる。そのため解凍後も、凍結前の味や食感をほぼそのまま再現できるのだ。
伊藤忠食品とテクニカンは2019年8月に業務提携契約を締結。現在、冷凍食品市場が業務用・家庭用ともに伸長していることから、凍眠市場に対する小売企業や卸からの引き合いが増加しているという。

伊藤忠食品は、なぜ凍眠市場をスタートさせたのか。同社リテール本部商品開発部惣菜事業推進課課長の佐藤智典氏は「冷凍食品市場が拡大するなか、“尖った”独自性のあるブランドを立ち上げ、お客さまの支持を獲得しようと考えたから」と説明する。競合他社である卸売業各社は冷凍ミールキットや冷凍スイーツなど、今後拡大が見込まれるカテゴリーの商品開発に注力している。それに対して伊藤忠食品は、規模の拡大をねらうよりも、「おいしさ」「素材の味」を追求した付加価値型の商品を展開することで、冷凍食品市場での存在感を示したいと考えているのだ。
冷凍生鮮品を中心に展開生酒の展開も

凍眠市場の主力カテゴリーは、凍眠技術の優位性を発揮できる生食用冷凍鮮魚(刺身を含む)や冷凍精肉だ。凍眠の高度な技術によって牛肉の
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