値上げ時代、スーパーマーケットが取るべき価格戦略とそのための仕組みづくりとは何か?
同業他社との連携も進む
最近では、作業の効率化や生産性向上を図るため、グループ内外の企業と協業する動きもみられるようになった。
まず挙げられるのが、商品の仕入れにおける協業である。一括で大量に仕入れることができれば、それだけ原価を低減することが可能だ。以前からディスカウントストア(DS)などは品揃えを絞り込み、単品を大量に売り込む戦略を採っているが、最近ではSMでもグループ内外との連携を強め、仕入れ数量を増やしている。
中部地方を中心にSMを展開するバロー(岐阜県/森克幸社長)は、中部薬品(同/高巢基彦社長)やホームセンターバロー(同/和賀登盛作社長)といったグループ内の他業態と連携するほか、アークス(北海道/横山清社長)やリテールパートナーズ(山口県/田中康男社長)と結成した「新日本スーパーマーケット同盟」での取り組みの一環として共同で商品を仕入れ、売場で大量展開し徹底的に売り込んでいる。グループ内連携では、月間の単品販売数量が日本一となる商品も出ており、同盟での取り組みでは、3カ年で約12億円の原価低減に成功している。
他社との連携による取り組みは、物流の領域にも及び始めている。イオン九州(福岡県/柴田祐司社長)は22年8月、トライアルホールディングス(同/亀田晃一社長:以下、トライアル)をはじめ、九州を地盤とする小売企業13社とともに、企業横断型で「物流の2024年問題」や脱炭素といった課題に対処し、持続可能な物流の実現をめざす「九州物流研究会」を発足した。すでにイオン九州とトライアルの福岡県内の店舗で共同配送の実験が始まっている。