急成長下で見えてきた生鮮ドラッグの課題と限界、スーパーの反撃とは

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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食品スーパーが受ける影響とは

 さらにフード&ドラッグ業界の新星として登場したのが、ウエルシアHDとイオン九州(福岡県/柴田 祐司 社長)の合弁会社、イオンウエルシア九州(同/安倍 俊也 社長)が運営する「ウエルシアプラス」だ。食品はイオン九州、非食品はウエルシアHDの商流を活用することで、双方で専門性の高い売場を構築。コンセやテナントに依存する他社とは一線を画したフォーマットで、競争激しい九州で需要開拓を進めている。

生鮮強化に本腰を入れたフォーマットも現れはじめた(写真はイオンウエルシア九州の店舗)

 こうした動きによってSMが受ける影響は大きい。とくに脅威となるのがフード&ドラッグによる食品の強烈な価格訴求で、とくにバイイングパワーの小さな中小SMは価格で対抗することはもはや不可能な状況だ。

 ただでさえ商圏人口の減少や人手不足によって不安定な経営を迫られているなか、ローカルの中小SMはフード&ドラッグの台頭によって存続の危機に立たされている。あるローカルSMの元幹部は、「倒産して従業員を路頭に迷わせるよりも、クスリのアオキに買収されてしまったほうが得策だ。今後もM&Aは頻発するだろう」と指摘する。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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