売上高2000億円、営業利益率5%へ 地場SMになりきる=マルナカ平尾 健一社長

聞き手=下田健司 構成=森本守人(サテライトスコープ)
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──改装した店舗の売上の状況はいかがですか。

平尾 好調な店舗は改装前に比べ、2ケタ以上の水準で伸長しています。なかには15%増で推移する店舗もあり、手応えを感じています。四国において長年培ってきたマルナカブランドは健在で、新たな要素を取り入れることで、まだまだ伸びると見ています。新たな施策にも積極的にチャレンジすることにより、お客さまに喜んでもらえるような店づくりに取り組んでいく方針です。

プロセスセンター供給とインストア加工を使い分け

──小売業界では人材確保難が課題になっています。

平尾 主な商勢圏とする四国の高齢化率は高く、全国平均の10年後の水準にあると言われています。採用については当社も苦労しています。そのため今春は、高卒社員の採用を増やし対処する方針です。エリア単位で採用し、そこにある複数の店で勤務してもらうことでキャリアアップできるような仕組みを導入するなど工夫していきます。社員比率が上がることになりますが、パートタイマーの確保が難しい時代にあっては、ある程度はやむを得ないと考えています。

──人材確保が難しいなか、店舗を効率運営するような施策はありますか。

平尾 プロセスセンター(PC)を積極的に活用し、店舗での作業を軽減できるような体制を整えていきたいと考えています。19年下期には、総菜などを手掛ける子会社の味彩工房の製造施設を強化する方針です。これによりPCである程度はキット化し、店ではたれをつけて加熱するだけといった商品も増やしていきます。また鮮魚、精肉といった生鮮部門についても、既存のPCを活用した品揃えを強化していきます。

 ただ、PCを活用するのは中・小型店が中心で、大型店は従来どおりインストア加工により商品を供給していきます。鮮度、味を犠牲にしてまで効率運営を優先させようとは考えていません。

──高齢化の進行により強化するサービスはありますか。

平尾 高齢者を対象に、居場所づくりとして体操をはじめとするイベントや習いごとを開催し、SMが地域のコミュニティの場となるような取り組みを模索していきたいと思っています。

──これからの経営課題をどのように考えていますか。

平尾 SMにおいて大切なのは何より人ですから、教育には力を入れていきます。その点で、イオンの持つビジネススクール等を積極的に活用していく考えです。同スクールではマネジメントについての講座が充実しており、18年2月期は100人を超える従業員が参加しています。若い従業員の学ぶ意欲が強く、頼もしく思っています。

 一方、商品化についての教育は、社内独自の仕組みを強化しながら、社員のほかパートタイマーを育成していければと考えています。

──目標とする経営数値はありますか。

平尾 売上高2000億円、営業利益率5%です。既存店を活性化させる一方で、新規出店も進めることで事業を拡大し、中長期的に目標を達成できればと考えています。競争が激化するなか数値だけを目標にするのではなく、生鮮食品を得意とするマルナカの強みを生かしながらお客さまに支持される企業をめざしていきます。

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