特別対談:イオン×サラヤ 先進企業のキーパーソンが語る企業としてのSDGsへの向き合いかた

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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消費者の意識が変化するなか継続的な情報発信が重要に

――コロナ禍では環境問題や健康に対する消費者意識の高まりが指摘されています。こうした状況下で、小売企業やメーカーに求められていることとは何でしょうか。

三宅 確かに、衛生面に関するお客さまの見方は非常にシビアになっていますし、健康全般に対する意識も向上している印象です。

 健康という切り口で行けば、単にフィジカル(肉体的)な話だけでなく、心も健やかでいたいというニーズも高まっています。その延長線上で、地球環境や自然保護といったことに対する関心はコロナ禍で急速に高まっている感もあります。

山田 同感です。そのうえでわれわれ企業に求められているのは、衛生にしても環境にしても、情報を発信しつづけることだと思います。とくにわれわれのようなメーカーは消費者との直接的な接点をほとんど持ちませんので、イオンさんのような小売企業とも組みながら、消費者に正しい情報を伝え続けるというのが大事だと考えています。

三宅 ただ、SDGsに関する活動において、効果的な情報発信を行うというのはなかなか難しいですよね。弊社では試行錯誤の段階で、「もう少し別のアプローチがあるのではないか」といった議論を日々繰り返しています。もちろんわれわれの場合、お客さまとの接点である「店」を有効活用しない手はないのですが、コロナ禍ではそれが難しい面もあります。今後は新しいコミュニケーションの在り方を考える必要があります。

山田 発信の仕方によっては違ったとらえ方をされるリスクもありますね。変につくり込むとどこかいやらしくなって、今までやってきたことが台無しになる可能性もある。“仕掛ける”というよりは、われわれが発信した情報が自然に拡散されていくというのが理想なのですが。

社内外に「体験」の場を提供する

――SDGsの取り組みを進めるうえでは、社内での教育や啓もう活動というのも重要になってきます。

山田 弊社の場合、あらゆる事業・業務で必ずSDGsに落とし込んで考えることが求められるため、そのプロセスで学んでいくという面が大きいですね。

 また、毎週社内ポータルサイトで社長自らがトップコミットメントとして衛生・環境・健康に関するメッセージを発信し続けていることで、意識が上がっている部分もあると思います。

 ただ、教育面についてはまだまだやるべきこともあるとは感じています。その点、イオンさんは「イオン ふるさとの森づくり」のもと、全社員が植樹活動に携わっていますよね。貴重な学びの場になっているのではないですか。

三宅 学ぶというか、体験の場ですね。イオンの環境活動の核となる取り組みになっています。ただ、ここ数年はものすごい規模で会社の規模が大きくなっているので、グループの全社員に参加チャンスがないのが課題になっていました。今年はそれをどうにかしようと議論しているところです。

山田 植樹活動には海外も含めてわれわれも取引先として参加しているのですが、行った人間に聞くとにかく「すごかった」と言って帰ってきます。植樹は単純な作業なのですが、以前植えた木が大きくなっているのを見ると、自然や環境に対する見方が変わるのですよね。これはいくら本を読んでも体感できないことだと思います。

三宅 ありがとうございます。とくに海外の植樹活動の規模は大きくて、たとえば中国では、数百年にわたる伐採で消滅した、万里の長城周辺の森の再生を目指して、1996年に北京市政府と「万里の長城・森の再生プロジェクト」を立ち上げました。イオンの従業員だけでなく、取引先様やお客さまと一緒に植樹し、1998年から2010年までの活動で、のべ1万5000人の方々にご参加いただき、植樹本数は累計100万本を超えています。今では木々が育ち、“森”と呼べるまでになってきています。そういう光景を見ると、やはり自然や環境に対する意識は変わりますね。植樹活動はコロナ禍の影響で20年度は縮小せざるを得ませんでしたが、今後も継続的に取り組んでいきます。

――SDGsの取り組みを行ううえで、社内の事業や部署ごとの目標はどのように設定していますか。

三宅 イオンでは、少しストレッチしたレベルに設定するためにも、持株会社が全体目標を設定しています。その後、目標達成のために各事業会社がどのようなアクションを取っていくかを考え、実行に移しています。

 例えば、脱炭素に向けた取り組みに関しても、どの事業がどれだけ排出しているのか、それをどれだけ減らすのか、そのためにどんな行動を取るのか、それぞれに目標があり、進捗管理しています。売上目標の考え方と一緒です。もちろん、その過程で、個別事業や企業では解決できない課題に関して相談を受けることもあります。その時は、どうすれば良いかを皆で考えています。

山田 われわれの場合、経営計画をSDGsの17の目標に落とし込んでいくということは継続的に取り組んでいますが、ブレイクダウンはなかなか難しいと考えています。できない目標を掲げても窮屈になるだけなので、大きな目標というのは会社として掲げていませんし、部門別の数値目標というのも設けていません。これまでやってきたことを少しずつストレッチさせていくということに愚直に取り組んでいるところです。

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