家庭用手袋市場、厳しい状況が続くものの高付加価値商品や極薄手袋は好調

ライター:山田陽美
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2022年の家庭用手袋市場は、前年並みの着地となったが、コロナ前の19年までの回復には至っていない。衛生意識は依然高いままなので、使い捨て極薄手袋も含め、使用シーンを広げる取り組みが求められている。

22年は回復傾向だが、19年までの規模には至らず

 日本グローブ工業会によると、2022年の家庭用手袋の販売数量は83,193千双で、対前年比1%減。素材別では、ビニール手袋が47,606千双で同2.5%減、ゴム手袋は27,465千双で同6.2%増、ニトリル手袋は8,122千双で同13.2%減。ゴム手袋のみ伸長したが、そのほかは前年割れとなった。コロナ禍による家庭内での炊事や掃除の時間の増加や衛生意識の高まりで、家庭用手袋の需要は拡大したが20年をピークに前年割れが続いている。23年上期も値上げの影響で厳しい状況だ。

ゴム手袋
2022年の家庭用手袋市場は、前年並みの着地となったが、コロナ前の19年までの回復には至っていない。(i-stock/EHStock)

 そのなかでも好調に推移しているのが、高付加価値商品。家庭用手袋のヘビーユーザーは使い心地を重視することから、機能を高めた商品が好調だ。なかでもショーワグローブの「ナイスハンド さらっとタッチ」は、内面に特殊な繊維を採用することで、さらっとした肌ざわりを実現した。市場拡大のためには高付加価値商品の品揃えを充実させることが重要となる。

家庭用手袋国内販売数量実績

 一方、使い捨ての極薄手袋の22年の販売数量は、49億488万枚で同10.9%増と回復したものの、19年までの回復には至っていない。素材別ではビニール製が18億3999万枚で同24.5%増、ゴム製は3億477万枚で同10%減、ニトリル製は16万255万枚で同14.2%増、ポリエチレン製は11億5754万枚で同3.6%減。ビニール製とニトリル製が前年を上回った。飲食業をはじめさまざまな場面で手袋装着が必須となり、すそ野が広がったことで極薄手袋の需要は安定している。また極薄手袋はこれまで手袋を使用していなかった若い世代の入口的な商品となっているため、間口拡大にも重要なカテゴリーといえる。店頭ではそれぞれの素材の特徴を訴求して、使い分けを促進していく必要がありそうだ。

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