地域への密着度を高め17年2月期に営業収益1000億円=マックスバリュ北海道 出戸 社長

聞き手・構成:小木田 泰弘
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コンスタントに新規出店続ける

──17年2月期を最終年度とする新中期経営計画では、営業収益1000億円の達成を再び掲げました。15年2月期は営業収益920億円を見込んでいます。

出戸 既存店の改装を継続し、コンスタントに新規出店できれば十分達成可能な数値です。

 たとえば、道東エリアは4店舗ではまだまだ少ない。道南エリアの函館市は現在2店舗が営業中ですが、よりきめ細かな地域対応をするためには新規出店し、強固なドミナントを構築する必要があります。現状は店舗のチーフが地域商材の仕入れを兼任していますが、専任の仕入れ担当者を配置できるように、もっと店数を増やしたいと考えています。

──北海道はオーバーストア化傾向が顕著で、競争は激化の一途をたどっています。出店余地も限られるのではないですか?

出戸 新規出店のメーンは、最もボリュームが大きく、人口も増えている札幌市周辺になります。札幌市については、売場面積2000~2500平方メートルクラスの店舗を出店できる敷地はとても少なく、1年間に数物件出てくるかどうかです。郊外ならば、物件数は増えますが、そのぶん商圏人口は薄くなります。当社は小型SM「マックスバリュ エクスプレス」や小型DS「ザ・ビッグ エクスプレス」を展開していますから、立地や商圏に最適な店舗サイズ、フォーマットを駆使し、ドミナントのメッシュを縮めていきたいと考えています。

 一方、道北、道南、道東エリアにも新規出店していきます。北海道内には、人口10万人以上の都市がいくつかあります。たとえば函館市は27万人、釧路市は18万人、苫小牧市は17万人、旭川市は約35万人が住んでいます。人口の減少は進むにせよ、ある程度大きな都市にはまだまだ新規出店できる余地があると考えています。

M&Aにも前向き

──さて、13年10月には、帯広市のいちまる(加藤祐功社長)と業務・資本提携を締結し、40.5%を出資しました。どのようなシナジーを期待していますか。

出戸 いちまるは帯広エリアのことをよく知っていて、産地や生産者、メーカーとの結びつきも強い。商品の仕入れや開発に大きな力を発揮すると思います。実は、14年3月から、イオン北海道、ダイエー、いちまる、当社の4社で、商品や販売促進施策について情報交換をする「4社会」がスタートしました。4社共通、もしくは同じフォーマットで実施したほうがよいMD(商品政策)や販促について協議を開始しています。イオン北海道、いちまる、当社からは社長以下経営幹部が出席し、ダイエーからは北海道事業本部長が参加しています。「4社会」はまだ始まったばかりですが、今後は4社が協力して取り組む施策がどんどん増えていくと思います。また、北海道発のプライベートブランド「トップバリュ」商品の開発もすでに始まっています。

──北海道では大手によるグループ化や中小SMチェーンの合従連衡の動きが一段落したとはいえ、今後も業界再編劇が起こると考えられます。マックスバリュ北海道のM&Aに対する考え方を教えてください。

出戸 よい話があれば前向きに検討したいと考えています。

 たとえば、当社が釧路市へ初進出したのは03年10月。進出当初から苦戦し、現在の4店舗態勢で地域対応ができるまで約10年かかりました。飛び地に進出した場合は、お客さまから支持を得られるようになるには時間がかかるものなのです。

 ですから、すでに地域ごとにドミナント化を進め、お客さまから支持を得ているチェーンとタッグを組めるのであればそうしていきたい。地域のことをいちばんよく知っているチェーンとともに事業を展開できることが理想です。

 そしてドミナントエリアをより強固なものにできれば、地域で支持されている商品をよりお値打ち価格で提供できるようにもなるでしょう。地域に密着したチェーンとタッグを組むことは、結果的にはお客さまの食生活の向上に貢献できることだと考えています。

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聞き手・構成

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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