数々の米アパレルを死に追いやったアマゾン・エッセンシャルズ静かに日本に上陸
アマゾン出身者が明かす
「Amazon Fashionが本格稼働しない理由」
あれから6年、いつまで経ってもAmazon fashionは本格稼働しない。ただ、2018年には品川に日本最大の撮影スタジオを作るなど、「その気はある」ことは誰もが感じていた。では、Amazon fashionは本格稼働するのか、日本のアパレルはどのように待ち構えれば良いのか」。
以下は、複数のAmazon出身者にヒアリングした話である。彼ら曰く、実は「Amazon fashion」はすでにローンチ(立ち上がり)をしているというのだ。確かにアマゾンのサイトでアパレル商品がが売られている。だが、二次流通品や、街のセレクトショップの商品を飾っているかのいずれかである。これが、米国で数々のアパレルを死滅に追いやったアマゾンとは思えない酷さだ。
しかし彼らはこう説明する、外資系によくあることだが、「ファッションの責任者がコロコロ変わり、『モール型にする』『プライベートブランドにする』だのと社内は混乱し、結局、時間だけが過ぎている」、のだという。数多くの外資系企業を歴任してきた私にも思い当たる節があり、「なるほど」と合点がいった。
私が同社に提案した戦略は、「日本の商社を使うこと」、そして、「日本の企画で商品開発をすること」、最後に「数あるデータを解析し、売れ筋を把握して価格で下をくぐること」の3点だったのだが、この私の戦略はおそらく引き継がれなかったのだろう。
これと同様のこととして、私が一昨年、商社を10件以上まわり、私「デジタルSPA」を紹介した際、「それは素晴らしい」と誰もがいうが、結局は思い切った投資ができない、あるいは、「自社でやる」ということになり、我田引水型個別最適デジタル化に終わっていたことは説明したとおりである。私は、この「デジタルSPA」は、私にしかできないと思っているので、惜しみなく、戦略概要から細かな質疑応答にまで応じていた。私が「アパレルを2-3社ぐらいなら集めてくることができる、一緒にやろう」とまで言うのだが彼らの歯切れは悪い。
「他に戦略はないのか?」「デジタルSPA一択なのか?」と聞く商社に対して私は、「アマゾンは日本でファッションビジネスを立ち上げようとしている。日本のアパレル企業のOEMなどやっても、先は見えている。また、巨大アパレル(例えばユニクロなど)をクライアントにしても、その市場はレッドオーシャンだから、こき使われるだけこき使われて薄口銭が残るだけだ。重要な戦略は彼らが決め、あなたたちは手足のように使われるだけ。主体性のとれないビジネスなど商社のやることではない、それでも良いのか」と私は問いかけた。
そんなことをするよりも、「これから勝つアパレルをビジネスが小さいうちから囲い込んで、彼らのOEMを受託して、彼らが持っているデータを駆使したMDの適時、適価、適量生産をすればよい」と語るのだが、彼らは本気で動こうとしない。
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