彷徨うコンビニその4 ローソンによるドラッグストア買収の可能性

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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次なる照準はドラッグストアチェーン!?

 そうしたなか、このところ業界で言われ始めているのが、ローソンによるドラッグストアチェーンの取り込みだ。

 ローソンにはドラッグストアとの提携で苦い思い出がある。それはココカラファイン(神奈川県)との経営統合を決め、ドラッグストアトップに返り咲く、マツモトキヨシホールディングス(千葉県、当時はマツモトキヨシ)との提携だ。

 当時のローソン社長は新浪剛史氏(現サントリーホールディングス社長)。片や、マツモトキヨシは個性派といわれた現会長の松本南海雄氏が社長として経営の舵を握っていた時代だ。両社長の個性がぶつかり合い、レジの配置の仕方から、仕入れ体制、運営の仕方まで折り合わなかったとされ、現在、提携は雲散霧消状態である。

 飽和を迎えたコンビニにとって、新しいフランチャイズパッケージの構築は至上命題となっている。では、ローソンにとってどんな秘策が考えられるのか。「それはヘルスケア分野の取り込みだ」と話すのは、ほかならぬ三菱商事の関係者である。

 ローソンはかねて一部店舗で「ヘルスケアローソン」「ケアローソン」を展開してきたが、いまだ試行錯誤を続けており、離陸したとはいえない。しかし三菱商事は医薬品卸大手のメディパルホールディングスと提携関係にあり、グループをあげてヘルスケア分野に力を注いでいる。

 医療用医薬品の取り込み、在宅医療、顧客の健康管理、クリニックモールというドラッグストアばりの機能を付加した新型コンビニフォーマットで巻き返しをねらっていても不思議ではない。また、ドラッグストア業界は再編が活発化し始めており、「三菱商事・ローソンと組んだ方が得策」と考えるチェーンが出てくる可能性は十分に考えられる。

 あるローソンOBも「ヘルスケア型の新しい業態を作り上げるのは非常に有効だ」と話す。ドラッグストアの取り込みは、ローソンにとって、業界で存在感を発揮できる「一発逆転」の秘策となるか。

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